京阪電気鉄道の路線は、京都と大阪を結ぶ京阪本線を主体とした「京阪線」と、滋賀県を中心に走る「大津線」の大きく2つにわけられます。
【画像】こんなに傾いている!? 「急な坂」の途中にある京津線の駅
大津線は、京津線と石山坂本線の2路線からなります。その一つの京津線は、京都市郊外の山科区と、琵琶湖畔の大津市を結ぶ、全長約7.5キロの路線。10キロに満たない比較的短い路線ですが、その中身はさまざまな特徴がある、唯一無二ともいえる存在です。
京津線は、起点の御陵駅で京都市営地下鉄東西線と接続しており、京阪の車両が太秦天神川駅まで片乗り入れしています。この直通運転で使われるのは、4両編成の800系。見た目は一般的な電車スタイルです。
ここまでであれば他にも存在するような要素ですが、京津線はもともと路面電車と発祥とする路線。そのため、上栄町~びわ湖浜大津間では、地下鉄にも乗り入れるこの車両が、道路上を走る姿が見られます。
さらに京津線は、途中に「山越え」区間もあります。かつての関所である逢坂関(おうさかのせき)付近を通る区間で、この区間の勾配は最大61パーミル。つまり、1000メートル進むと61メートル登るという角度です。途中の大谷駅は、京津線最急勾配には及ばないものの、普通の路線では見られない40パーミルの勾配上に設けられた駅。ホーム上にあるベンチの脚の長さが左右で異なるほど、急勾配であることがわかります。
ちなみに、京津線は京都市営地下鉄との直通にあわせ、1997年に京津三条~御陵間が廃止されていますが、この区間には現存区間よりも急な66.7パーミルという勾配がありました。数値上は国鉄→JRの最急勾配区間として知られた碓氷峠と同じで、三条~浜大津間を走るかつての京津線の電車は、2度の山越えに挑んでいたことになります。
加えて、大谷~上栄町間には、半径40メートルというカーブもあります。在来線の曲線は一般的に半径160メートル以上を基準としているため、このような急カーブの存在はまれ。大手私鉄では最も急な曲線区間となっています。
そして、先述した京都市営地下鉄との直通運転という点も、京津線の特徴の一つ。私鉄路線と地下鉄の直通運転自体は珍しくありませんが、路面区間を有する路線と地下鉄が直通するのは、全国でもここだけの存在です。
西中悠基