『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)第6話は、なつ美(芳根京子)と瀧昌(本田響矢)のこれまでを見守ってきた視聴者にとって実に感慨深い回となった。
【写真】なつ美(芳根京子)を“お姫様抱っこ”する瀧昌(本田響矢)
なつ美の早とちりがきっかけとなり、喫茶店で会うことになった芙美子(山本舞香)と深見(小関裕太)。その様子が気になるなつ美は瀧昌と学生カップルを装い、2人のランデブーを偵察することに。
席に着くなり、深見は単刀直入に芙美子に結婚を申し込む。結婚に恋情は不要と割り切り、家を守るための対等なパートナーを求める深見にとって自立した女性の芙美子はまさに理想の相手だった。しかし、深見のキザな態度が鼻持ちならない芙美子はその考えに同意しつつも断る。
そんな2人を尻目に、ついついデート気分になってしまうなつ美と瀧昌。深見もとっくに尾行されていることに気づいており、逆になつ美たちの方が見守られる形となる。本来の目的を忘れて楽しむ2人の様子を見て芙美子が笑い、深見もそれに釣られる笑顔の連鎖が印象的だ。
打算的でいつもは腹の底が見えない深見がふとこぼした「嘘のないあいつを見るとホッとするんです」という本音。それに乗じて「お人好しで純粋でなんだか放っておけなくて。でも彼女を見ていると、いつの間にか自分の方がホッとしている」となつ美への思いを語った芙美子の言葉に、本作がヒットした理由が詰まっていた。
現代社会はモノや情報で溢れかえっていて、何かと焦燥感に駆られることが多い。テレビで紹介されているトレンド商品を欲しくもないのに買ってしまったり、SNSで他人の幸せそうな投稿を見ては落ち込んだり、そういう知らず知らずに押し付けられた価値観に惑わされて自分を見失ってしまう。
そんな中にあって、本作は日常の中にある小さな幸せを大事にして、目の前の相手と誠実に向き合い、心を通わせていく夫婦の姿を丁寧に紡いできた。瀧昌と離れて寂しそうにしているなつ美の姿は切なくて胸が締め付けられ、なつ美のことで一喜一憂する瀧昌は可笑しみがあってクスリとさせられ、2人が幸せそうにしているとこちらまで嬉しくなる。もどかしさは確かにあるけれど、どこか純粋で嘘のない2人のやりとりにホッとするのだ。そんな風に視聴者を「見守りたい」という気持ちにさせたこと。それが本作の勝因だろう。