見過ごされている「貴重な財源」の無駄遣いとは?
年金改革法案や基礎控除の見直し、消費減税など、7月の参議院選挙を控えて、連日、国会で討論が行われている。だが、財源にまできちんと踏み込んだ、内容の濃い論戦には至っていない。減税や財政支出を回避したい政府と、選挙ウケを狙う野党の主張には、大きな隔たりがあるからだ。
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そして、より深刻なのは、そうした茶番の裏で貴重な財源の無駄遣いが見過ごされていること。日銀の銀行の「超過準備」への利息だ。なぜ、絶好調の銀行業界に国が〝補助金〟を出すのか。「早急な見直しが必要」と専門家が指摘する。
◆基礎年金が底上げされても将来は消費増税か
現在、開会中の第217回国会では、年金改革法案や所得税の基礎控除の控除額引き上げといった、国民の生活に直結する重要法案が審議または成立している。こうした大きな財政支出を伴う法案の審議では、必ず財源が議論の中心となる。
しかし、今国会の目玉である、基礎年金の底上げなどを盛り込んだ年金改革法案を、自民党は財源を明示しないまま成立させようとしている。厚生年金の積立金と国の税金を投入するとしているが、何の国税なのかを明らかにしていないのだ。
野党は、将来の消費税の増税で賄われる可能性があるとして、追及している。与党には、「年金の財源としてなら消費税増税も国民は受け入れるはず」といった読みがあるのだろう。
◆財源になる日銀の「超過準備」への利息
実は、政府には、有効に活用されていない巨額の財源が相当ある。以前、「霞が関埋蔵金」などと呼ばれていた特別会計の積立金は、まるで都市伝説のようにその存在が揶揄されているが、間違いなく実在する。
代表的なものは、「外国為替資金特別会計」(通称:「外為特会」)の含み益だろう。円高が進んだ現時点でも、30兆円以上の含み益が眠っている。これは丸ごと財源として使えるものだ。
また、一見、財源になるとは分かりにくいものもある。それが、今回取り上げる日銀の「超過準備」への利息だ。これが、現在、年換算で約2.6兆円にまで膨らんでいる。これは消費税1%分(約2.4兆円)よりも多い。
しかも、本来、政府予算に組み入れられるべき資金のはずが、まるまる銀行業界に還流している。以下、少々説明が難しくなるが、その中身について解説をしよう。
◆日銀の当座預金には利息が付く!?
民間の銀行は、個人や企業から預けられたお金を、一定の比率で日銀の当座預金に預けなければならない。このルールは「準備預金制度」と呼ばれ、日銀に預ける必要最低限の金額を「法定準備預金額」という。
そして、この法定準備預金額を超えて預けられている金額は「超過準備」と呼ばれ、日銀が定めた「補完当座預金制度」によって、利息が付くことになっているのだ。
ここまでの説明で、「え!?」と思う人も少なくないだろう。法人口座などで銀行の当座預金を使っている人ならお分かりだが、通常、当座預金には利息は付かない。だが、日銀の当座預金では利息が付くのである。