米国「役割をしない同盟は維持できない」…韓国に防衛費請求書ちらつかせる


ヘグセス米国防長官は先月31日、シンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で基調演説をし、中国が強大な軍事力を基礎に域内の覇権国になろうとしているとし、「このような核心的地域から中国が我々を押し出そうとするのを放置しない。我々の同盟国とパートナー国が(中国に)従属したり脅威を受けたりするのを放置しない」と明らかにした。

これは米国がインド太平洋地域に対する関与を継続するということだが、前提は明確だった。ヘグセス長官は「防衛費の支出は我々が現在直面した脅威を反映する」とし「抑止力の強化は安価で得られるものではない。米国納税者に尋ねてほしい」と述べた。トランプ米大統領が国防費支出計画を13%増やして過去最高となった点も強調した。同盟も支出を増やす覚悟をするべきという意味とみる余地がある。

年間防衛費支出が国内総生産(GDP)比2.8%(2023年基準)と相対的に高い韓国も例外でない。実際、ヘグセス長官は具体的にNATO(北大西洋条約機構)国家がGDP比5%まで国防費を引き上げることにした点に言及し、「アジアの核心同盟国は(国防費を)あまり使わないが、欧州国がそのようにするのは話にならない」と強調した。

アジア同盟国が「北朝鮮は言うまでもなくてはるかに強い脅威に直面している」という理由に挙げながらだ。これは北朝鮮の直接的な脅威に露出している韓国を念頭に置いたものとも考えられる。ヘグセス長官の演説で北朝鮮はこうした脈絡で一度だけ出てきた。

このような役割分担を同盟の本質と結びつけたりもした。ヘグセス長官は「一方的な関係なら同盟は強固にならない。実際にそうであるのか、そのように認識されるのかは関係ない」と話した。ヘグセス長官の「強固(ironclad)」という表現は、米国が韓米同盟など同盟の深みや防衛公約を強調する時によく使う修飾語だ。資金をさらに投入しなければこうした防衛公約を提供するのは難しいという圧力だ。

ヘグセス長官は実際、「同盟の維持を担保する唯一の方法は、双方がそれぞれの役割を果たしながら互いに利益になるかを確認するだけだ」と述べた。また「米国は過去の道徳主義的な外交政策には関心がない」とも話した。「価値同盟」には関心がなく、利益になるかを問いただし、そうでなければ同盟をまともに維持することはできないと規定したのと変わらない。

ヘグセス長官が「安米経中(安保は米国、経済は中国に依存)」形態を見せる同盟国に言及しながら「中国に経済的に依存するのは葛藤状況で我々が国防関連の決定をするのを難しくする」と述べたのは、在韓米軍の戦略的柔軟性と直接的につながる発言とみる余地がある。中国の台湾侵攻状況を仮定する場合、韓国が中国に過度に依存していれば在韓米軍を対中牽制のために運用しにくいという懸念の表明とも考えられるからだ。

韓米相互防衛条約4条は「相互合意(agreement)に基づき、米国の陸・海・空軍を韓国領土内と付近(in and about)に配備(dispose)」している。条約はこれを米国の「権利」と規定する。米国が在韓米軍配備という権利を行使するには韓国との合意が必要であるだけに、韓国が経済的に中国と密着していれば難しいというのが米国の論理になる可能性がある。

さらに最近、米国防当局者は中国抑止のための戦力配備計画を確認し、在韓米軍縮小の可能性も排除していない。韓国が自国の役割を果たさず、対中牽制にも積極的に参加しないと判断する場合、米国が在韓米軍の規模に触れることが予想される。

今回のシャングリラ会合に韓国からは長官級でなく国防部政策室長が出席したが、「韓国スルー」が目立った。ヘグセス長官は「我々は皆さんが依存者でなく同等なパートナーとして米国とより一層有能に協力できるよう力を与えようとしている」とし、同盟および友好国との連合訓練などを例に挙げた。

しかしフィリピン、インド、オーストラリア、タイなどとの連合訓練に一つずつ言及しながらも、今年3月にあった韓米連合演習のフリーダムシールド(自由の盾)には触れなかった。在日米軍の「アップグレード」を評価しながらも在韓米軍には触れず、「韓米同盟」という言葉も出てこなかった。

韓国国内の政治的混乱が韓米同盟の地位や米国の関連認識にもマイナスの影響を与えるという声も出ている。特にこれは同盟国に対する対中国牽制の役割強化圧力と関連し、3日の大統領選挙で発足する韓国新政権に大きな安保的負担として作用する可能性が高い。

ヘグセス長官は「同盟が分担してこそ我々がインド太平洋地域に集中できる」と述べたが、そのために同盟に「厳しい愛(tough love)を見せたり時には難しい対話もしなければならないだろう」という話もした。これは新政権が発足した直後に向き合う米国の顔になると予想される。実際、ヘグセス長官は中国の脅威を「至急(urgent)」「切迫(imminent)」などの表現で描写した。

梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「次期韓国政権が発足すれば、米国は優先的に中国牽制にいかなる寄与をするか問うはず」とし「中国牽制という米国の明確な立場に応じることができなければ、韓米同盟が形骸化したり韓国が望まない紛争に巻き込まれたりすることもあり得る」と話した。



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