「本当の死者数に気付かれることを警戒したのでは」 中国政府が“醤油の生産量”をひた隠しにする驚きの理由


明かされない本当の成長率

【写真を見る】中国政府がデータ公表を止めた「ある時期」とは?

 そのため、エコノミストたちが注目しているのが、映画興行収入やセメント工場の稼働率、大手電力会社の発電量などといった産業界のデータだ。これらの数字は意図的に操作することが難しいからである。ところが、中国政府もそれを察知してか、火葬件数や株式市場の新規投資家数などの統計を相次いで発表しなくなり、醤油生産量は21年5月をもって公表停止。以来、再開していない。最後となった21年の生産量は年間778万トンといわれている。なぜ中国政府は醤油のデータを隠すのか。

データ公表が止まった“ある時期”

「中国政府がデータ公表を止めたのはコロナ禍で死者数が急増していたタイミングでした。華人のチャイナウォッチャーらは、“醤油の生産が急減すれば人口が減っていることが分かり、人々が本当の死者数に気が付くことを政府が警戒したのではないか”とみています。また、醤油生産量の減少は飲食店の倒産件数とも関連し、エコノミストらがそこから実際の景気動向を探ってくる可能性もある。それを恐れての措置ともいわれています」

 また、中国事情に詳しいインフィニティのチーフエコノミスト・田代秀敏氏によると、

「中国では21年6月に、国家市場管理監督総局が『醤油及び食酢の品質安全監督管理の強化に関する公告』を発布しています。これは大豆や大豆かす、または小麦、小麦ふすま以外の原料から醤油を作ってはならないと定めたもの。いわゆる調整(あるいは合成)醤油を『醤油』と名乗って売るのを禁止しました。すると、それまでと比べて醤油生産量は統計的に激減することになる。その数字をアナリストが勝手に解釈するのを嫌って、発表を止めたのでしょう」

 かくて、隣国では食卓の“お供”が国家機密となっているのである。

新潮社



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