フジテレビ、騒動巡る処分発表 元編成部長の降職・懲戒休職は妥当か?

フジテレビは2024年6月5日、昨年12月から続いていた一連の騒動に関し、5人の懲戒処分を発表し、一つの区切りをつけました。特に注目を集めたのが、元編成部長への処分です。降職(4段階)と懲戒休職(1カ月間)という内容でした。この処分は妥当なのでしょうか。人事労務に詳しい弁護士の和泉貴士氏と社会保険労務士の大津章敬氏に話を聞きました。

処分発表の詳細と対象者

同社が6月5日に発表した内容によると、処分の対象となったのは計5人です。その中でも、元編成部長(当時)に対しては、第三者委員会の報告書で、事件当日の直接関与は否定されたものの、事件後のアナウンサーへの対応が「二次加害行為と評価し得る」と指摘されていました。この指摘を受け、SNSなどでは厳しい処分を求める声が多く上がっていました。今回の処分内容は、元編成部長を含む関係者に対して行われたものです。

問題となった「非違行為」の内容

懲戒処分の対象となったのは、主に以下の4つの行為です。これらは同社の就業規則に違反する「非違行為」と認定されました。

  1. 中居氏からの依頼を受け、入院中の女性社員に見舞金を渡そうとしたこと、およびフジテレビが以前から顧問弁護士としていた弁護士を中居氏に紹介したこと。
  2. ホテルの部屋での会食において、出演者から女性社員2人だけを残して退出するよう求められた際に、社内で最も職位が高かったにもかかわらず、これを止めずに退出したこと。この後、部屋に残った女性社員らが出演者からハラスメント行為を受けました。
  3. 出演者との会食の際、女性社員を誘った後、女性社員を残してその場を離れ、女性社員が別の店に移動したところ、出演者からハラスメント行為を受けたこと。
  4. 後輩の女性社員に対するハラスメント行為。

上記(1)から(3)までの行為に対し、就業規則違反の「非違行為」として降職(4段階下げる)が適用されました。(4)のハラスメント行為に対しても「非違行為」として、懲戒休職(1カ月間)が適用されています。なお、同社の懲戒処分は、重い順に懲戒解雇、退職勧告、降職または役位剥奪、懲戒休職、謹慎、減給、けん責、戒告と定められています。

フジテレビの騒動と処分に関する画像フジテレビの騒動と処分に関する画像

専門家による処分の評価

今回の処分について、弁護士の和泉貴士氏は評価しています。和泉氏は、「降職は退職勧告の次に重い処分であり、しかも4等級下にまで下げる。これは決して甘くはなく、それ相応に厳しいものととらえることができる」と述べています。特に4段階の降職は、社内における地位や賃金に大きく影響する重い措置であり、今回の「非違行為」の性質や世間の注目度を踏まえれば、決して軽い処分ではないとの見方を示しました。社会保険労務士の大津章敬氏も、企業秩序を乱す行為に対する懲戒処分としては、具体的な行為内容と照らし合わせても相当の重さを持つ処分であると指摘しています。

結論

フジテレビが発表した元編成部長への降職(4段階)および懲戒休職(1カ月間)という処分は、人事労務の専門家である弁護士や社会保険労務士の見解によると、同社の懲戒規定における位置づけや内容から見て、「決して甘い処分ではなく、それ相応に厳しいもの」と評価されています。一連の騒動に関し、第三者委員会の報告書や世論の声を背景に行われた今回の処分は、関係者の行為の重大性に対する企業の判断を示すものと言えます。

参考文献

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