インド西部グジャラート州アーメダバードで12日、英ロンドン行きのエア・インディア機が空港を離陸した直後に墜落した。現場の市街地には機体の一部とみられる残骸が黒焦げになって散乱しており、救助隊員らが急行している。このインドでの航空機墜落事故は、市街地を巻き込む形で発生し、大きな衝撃を与えている。
現場の惨状と救助活動
墜落現場は医学生の宿舎があるエリアだった。現地からの写真や映像は、墜落直後に高さのある黒煙が立ち上り、建物の周辺に広範囲にわたって残骸が散乱している様子を伝えている。消防隊員は現場で放水活動を行い、白煙も漂う中で、多くの住民が見守った。6階建ての宿舎建物は側面が黒く焼け焦げ、近くに駐車していた乗用車も炎上した。英BBC放送は、現場近くの近隣住民も救援活動に加わっており、消防隊などが遺体の搬送を行っていると報じた。目撃者からは、大きな音の後に黒煙が上がったとの証言も聞かれている。
インド西部アーメダバードの航空機墜落現場から黒煙が上がり、救助活動を行う人々と見守る人々
負傷者の状況と病院の対応
ANI通信によると、地元の病院には墜落に巻き込まれた負傷者たちが搬送され、事態を案じた親族らが多数駆けつけている。現場の宿舎にいたというある男性の母親は、「息子は無事で、話もできた。2階から飛び降りた際に負傷した」と、九死に一生を得た状況を語った。アーメダバード市内の病院では、多くの医療関係者が負傷者の受け入れ準備を進めた。
インド西部アーメダバードの病院前で航空機墜落事故の負傷者搬送を待つ医療関係者 2025年6月12日
インド航空業界の成長とエア・インディア
今回の事故の背景には、世界最多の14億人超の人口を抱え、経済成長が著しいインドの航空業界の急速な発展がある。航空需要はすでに米国、中国に次ぐ世界第3位の規模に達している。国際航空運送協会(IATA)の予測では、インドは世界人口の約18%を占めるにもかかわらず、航空旅客数は現在4.2%にとどまっており、今後20年間で3倍に拡大すると見込まれている。インド政府はこの発展を後押しするため、空港インフラ整備、税制優遇、デジタル化などの計画を進めている。エア・インディアもまた、こうした需要拡大に対応するため、2023年には米ボーイングと欧州エアバスに当時航空業界史上最大規模となる計470機の航空機を発注するなど、急速な事業拡大を進めていた。インドのデリーやムンバイなどを拠点に、東京を含む世界の主要都市に路線を展開している。
当局の対応と事故機の履歴
インドのナイドゥ民間航空相は交流サイト(SNS)で、「最大の警戒態勢を敷き、状況を注視している。救助隊が派遣され、医療援助と救援支援を急ぐよう全力を尽くしている」と投稿し、当局の対応状況を明らかにした。一方、航空機追跡ウェブサイト「フライトレーダー24」のデータによると、墜落した機体は事故直前まで国際線に使用されていた。この機体は9日夜にニューデリーを出発し、10日朝には東京・羽田空港に着陸、同日中にニューデリーへ折り返していた。また、11日にはニューデリーと仏パリ間の往復便にも使用されていたことが判明している。
まとめ
インド西部アーメダバードで発生した今回のエア・インディア機の墜落事故は、離陸直後の機体が市街地に落下するという痛ましい結果となった。現場では救助活動が懸命に行われ、近隣住民や医療関係者も対応に追われた。経済成長とともに航空需要が拡大するインドの背景の中で発生したこの事故は、今後の安全対策や原因究明に向けた詳細な調査が急がれる事態である。
[参考文献]
- Yahoo!ニュース / 毎日新聞 (Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/7cc1ba44e707dd5078ee7e6c4f24d5f1aedcf26b)
- AP通信
- BBC放送
- ANI通信
- 国際航空運送協会(IATA)
- フライトレーダー24