新車購入、現金・ローン・サブスク徹底比較:総支払額、メリット・デメリットを解説

新車購入時、「現金一括だと損をする」という話を聞いたことがあるかもしれません。実際、2023年度の乗用車市場動向調査では約6割の人が現金で車を購入していますが、近年は購入・利用方法が多様化しています。従来の現金購入やマイカーローンに加え、カーリース(カーサブスクリプション)も有力な選択肢として注目されています。カーリース契約台数は着実に増加しており、その関心の高さが伺えます。本記事では、450万円クラスの新車を例に、現金一括購入、マイカーローン、カーサブスクリプションのそれぞれの支払い総額、メリット、そして注意点を比較し、あなたに最適な選び方を検討します。

新車購入の鍵を受け取るイメージ。現金一括、ローン、サブスクの比較記事。新車購入の鍵を受け取るイメージ。現金一括、ローン、サブスクの比較記事。

新車購入の3つの方法:現金一括、マイカーローン、カーサブスクリプション

新車を手に入れる主な方法は、大きく分けて以下の3つです。

  • 現金一括購入: 車両本体価格と諸費用をまとめて一度に支払う方法です。手元にまとまった資金がある場合に選択されます。
  • マイカーローン: 銀行や信用組合、自動車メーカー系、JAバンクなどが提供するローンを利用して、車両購入資金を借り入れる方法です。月々またはボーナス時に返済していきます。
  • カーサブスクリプション(カーリース): 月額料金を支払うことで、契約期間中、車を専有して使用できるサービスです。車両代金だけでなく、多くの場合、税金や自賠責保険、メンテナンス費用などが月額料金に含まれます。契約満了時には原則として車両を返却します。

支払い総額と資産価値の比較シミュレーション

450万円の新車(トヨタRAV4、ホンダステップワゴン、スバルフォレスター等)を5年間利用する場合の支払い総額を比較シミュレーションしてみましょう。

購入方法 5年間の支払い総額(概算) メリット 注意点
現金一括購入 450万円 利息負担なし、車両がすぐに自分の資産になる まとまった資金が必要、手元資金が減る
マイカーローン 約480万円 手元資金を温存できる、無理なくワンランク上の車も 金利負担が発生する(例:年2.5% 5年で約30万円)
カーサブスクリプション 約330万円から 頭金不要、税金・保険・メンテ費用込みの定額払い 車両は自分の資産にならない、走行距離制限、中途解約料

※上記支払い総額は例であり、条件によって変動します。マイカーローンは約2.5%の金利で5年間返済した場合のシミュレーションです。カーサブスクリプションの金額は、契約満了時に車両を返却するプランを想定しており、残価(契約満了時の見込み車両価値)分が支払い総額に含まれないため一見安くなります。

支払い総額だけを単純比較すると、マイカーローン > 現金一括 > カーサブスクリプションの順に高くなる傾向があります。現金一括購入は利息負担がないため最もシンプルで総額も明確です。マイカーローンは金利負担が発生するため、元本の450万円に加えて利息分が加算されます。

一方、カーサブスクリプションは、契約期間中の利用料のみを支払う形式のため、車両本体価格から残価を差し引いた金額が支払い総額のベースとなります。このため、同じ期間で比較すると支払い総額が抑えられるように見えます。

しかし、この支払い総額には「資産価値」が考慮されていません。現金やマイカーローンで購入した場合、完済後または購入時点から車は自身の資産となります。将来、車を売却することでその時点での市場価値を得ることが可能です(通常、購入価格から価値は下落します)。カーサブスクリプションの場合、契約満了時に車両を返却するため、手元に資産は残りません。もし契約満了後に同じ車を手元に残したい場合は、別途残価を支払う必要があり、その総額はマイカーローンで購入した場合よりも高くなるケースもあります。

つまり、支払い総額の比較だけでなく、「支払後に何が手元に残るのか」という点まで踏まえて検討することが非常に重要です。5年程度で新しい車に乗り換えたい、というサイクルを重視するならカーサブスクリプションが有利になる可能性があります。一方、一つの車に長く乗り続けたいと考えるのであれば、最終的に自分の資産となる現金一括購入やマイカーローンでの購入が有利と言えるでしょう。

新車購入方法(現金・ローン・サブスク)の支払額、メリット・注意点を比較した図表1。新車購入方法(現金・ローン・サブスク)の支払額、メリット・注意点を比較した図表1。

各購入方法のメリット・デメリット詳細

現金一括購入

メリット:

  • 利息負担ゼロ: 最もシンプルで、車両本体価格と諸費用のみの支払いで済むため、総支払額を抑えられます。
  • 完全な所有権: 購入と同時に車の所有者となるため、車の利用方法やカスタマイズに制限がありません。
  • 手続きの簡素さ: ローンの審査などが不要なため、購入手続きが比較的スムーズです。

デメリット:

  • まとまった資金が必要: 車両価格全額を一度に支払うため、数百万円単位の資金が必要になります。
  • 手元資金の減少: 多額の現金を使うことで、急な出費に対応するための貯蓄が減る可能性があります。

マイカーローン

メリット:

  • 手元資金の温存: まとまった資金がなくても車を購入でき、手元にある貯蓄を他の目的(投資や万が一の備え)に活用できます。
  • 支払い負担の分散: 月々の返済額を調整することで、家計への一時的な負担を軽減できます。
  • 車の所有権: ローン返済中も車の所有者となる(ただし所有権留保がつく場合がある)ため、ローン完済後には完全に自分の資産となります。

デメリット:

  • 金利負担の発生: 借入額と金利に応じて利息が発生し、総支払額は現金購入より高くなります。
  • 審査が必要: ローンを利用するには金融機関などの審査を通過する必要があります。
  • 返済期間の制約: 長期間の返済が必要となり、その間の収入や支出の変動に注意が必要です。

カーサブスクリプション

メリット:

  • 初期費用を抑えられる: 頭金が不要なケースが多く、車両購入時の初期費用を大幅に抑えられます。
  • 月々の支払いが定額: 車両代金に加え、税金、自賠責保険、メンテナンス費用などが含まれるプランが多く、毎月の支出が予測しやすいため家計管理が楽になります。
  • 手軽な乗り換え: 契約期間満了ごとに新しい車に乗り換えやすいため、常に最新モデルや好みの車に乗ることができます。

デメリット:

  • 車の所有権がない: 車はサービス提供会社の資産であり、契約者は利用権を持つのみです。
  • 走行距離制限: 年間または月間の走行距離に上限が設けられていることが多く、超えると追加料金が発生します。
  • 契約期間の制約: 契約期間中は原則として中途解約ができず、やむを得ず解約する場合は高額な違約金が発生することがあります。
  • カスタマイズの制限: 原状回復が求められるため、車のカスタマイズに制限があります。
  • 最終的な支払い総額: 契約内容によっては、購入する場合と比較して総額が高くなる可能性があります。

あなたに最適な選び方

結局、新車購入の最適な方法は、個々の経済状況、ライフスタイル、そして車に求めるものによって異なります。

  • 十分な貯蓄があり、今後大きな出費の予定もなく、利息を払いたくない、すぐに車を自分の資産にしたいという場合は、現金一括購入が最も安心できる選択肢でしょう。
  • 手元資金を減らしたくない、毎月の積立投資や資産運用を積極的に行いたい、あるいは予算を抑えながらもワンランク上の車に乗りたいという場合は、低金利のマイカーローンの利用がおすすめです。
  • どうしても乗りたい新車があり、数年ごとに車を乗り換えたい、税金やメンテナンスの手間を省きたい、あるいは初期費用を抑えたいという明確な目的がある場合は、カーサブスクリプションを検討する価値があります。ただし、契約内容(走行距離制限、契約期間、残価の扱いなど)をしっかり確認することが不可欠です。

単純な支払い総額だけでなく、車の所有という「資産」をどう捉えるか、そしてご自身の将来設計や資金計画全体の中で車の購入をどう位置づけるかを総合的に判断することが、最適な方法を見つける鍵となります。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/db985ccc906f0462004fc6f9db497f67e2c5ec9a