日本の「長すぎる質問」はありえない…ホワイトハウス取材歴20年の日本人記者が会見で質問するためにしたこと


【写真】ホワイトハウスでトランプ大統領に質問する筆者

■フジ会見で注目された「日本の記者の質問力」の低さ

 2023年9月、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP=スマイルアップ)が、創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題に関する記者会見をおこなった。4時間以上も続いた会見の中で、性加害を初めて認めて謝罪し、海外メディアもそれを大きく報じた。また、今年1月、元タレント中居正広氏の女性問題に関して、フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス主催による、およそ10時間にわたる記者会見がおこなわれた。

 この2つの会見に共通しているのは、人々の関心の高さや、会見の異例の長さだけではない。会見の映像が、テレビやインターネットで公開されたが、多くの人々が目にしたのは、質問に対する主催者側の応答だけでなく、質問をした記者の「質問力」の低さでもあった。

 この2つの会見において、質問する記者側に注目して見ると、不必要に長すぎる質問や、質問する側の記者が感情的になり、質問というより、自分の持論を展開するような場面が多々あったことに気づくだろう。質問内容や、質問する記者の姿勢やマナーに関するワードがXで一時トレンド入りするほど多くの注目を浴びたこれらの会見は、我々に、日本人の「質問力」のレベルについて、あらためて考えさせる機会を与えた。

■大統領に質問するホワイトハウスの記者たち

 では、各国のメディアから常に注目され続けている、米国ワシントンD.C.のホワイトハウスで、記者たちは大統領や報道官を相手に、どのような質問をしているのか。ホワイトハウスで記者会見に出席し、何度も質問する機会を得てきた記者に取材した。

 1人目の記者は、ラクエル・クラヘンビュール氏。ラクエルは、ブラジル最大の民放テレビ局「TVグローボ」のワシントン支局長である。彼女は、2015年、オバマ政権時からホワイトハウスを取材し始め、今年で10年目になる。ホワイトハウスでの定例記者会見に、数多く出席し、トランプ、バイデンの両大統領にも直接何度も質問した経験もある。



Source link