郵便局への多額の公的支援を盛り込んだ郵政民営化法などの改正案が17日、自民、公明、国民民主の3党共同の議員立法で国会に提出された。参院選を間近に控え、法改正を求める全国郵便局長会(全特)の要望にこたえる姿勢を示す狙いだ。野党の間では「郵政お助け法案」とも呼ばれ、郵便局をめぐる大規模な不祥事が噴出するさなかの提出に批判が出ている。
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改正案はこれまで自民、公明、立憲民主、国民、日本維新の会の5党間で協議。維新は法案内容に反対し、国民も党内に異論を抱える。会期末が近く、今国会で成立する可能性は低い。
自民がまとめた改正案は、来客が減り続ける郵便局の維持費として年650億円規模の支援を行うなど、郵便局網をそのまま残す意図が鮮明だ。日本郵政に対し、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式の3分の1超の保有を当面義務付け、完全民営化を先送りして「金融依存」の構造も維持する。
法改正の要望を強める全特は、参院選で組織内候補を自民公認で擁立し、数十万票を集めてきた。局数の維持は会員数の確保に直結し、会費収入や政治活動の動員を支える源泉となる。
朝日新聞社