リア充に憧れそのように振る舞うが、周囲が気になってキョロキョロと落ち着かない人をネットスラングで「キョロ充」と呼ぶ。調子が良い人物といった否定的な側面を指摘されることが多いキョロ充だが、周囲の人間関係やパワーバランスの見極めがうまく、目標達成に貢献できる性質もある。政治と選挙について取材を続けるライターの小川裕夫氏は、国民民主党の求心力低下の原因として「キョロ充」をキーワードのひとつに挙げている。同党の支持率も急落している。何が党勢を変化させたのか、小川氏がレポートする。
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今夏の参院選で台風の目と見られている国民民主党が、揺れている。比例代表で公認候補として5月14日に擁立することを発表していた元衆議院議員の山尾志桜里氏は、6月10日に出馬表明の記者会見を実施。ところが翌11日に国民民主党が両院議員総会を開き、公認を取り消した。
公認取り消しは衆議院議員時代の言動が理由のようだが、いったん候補者として発表したにもかかわらず、事前からわかっていたことを理由に公認を取り消すことは異例だ。しかも、出馬会見からわずか1日というスピードで決断が下されたことを考えると、公認取り消しは会見前から既定路線だったことが窺える。
この混乱した一件で、玉木雄一郎代表や榛葉賀津也幹事長の責任論が出ても不思議ではないだろう。いずれにしても、国民民主党内で混乱が生じていることは間違いなく、先の衆院選で同党に一票を投じ、今夏の参院選でも押し上げようと期待していた有権者の間にも不信感が漂っている。
山尾問題に触れなかった玉木代表
先の衆院選で議席を7から28へ4倍増させた国民民主党は、勢いを保ったまま参院選に突入すると思われていたが、思わぬ形でブレーキがかかることになった。
東京都議会に議席を有していない同党は、2025年6月22日に投開票される東京都議会議員選挙で20人の候補者を擁立。衆院選の勢いを保てれば、かなりの当選者を出すことは濃厚だった。都議選は一地方選ではあるものの、間髪を置かずに実施される参院選の前哨戦と位置付けられていることもあり、それらは密接にリンクする。都議会で議席を大幅に増やせれば、参院選にも弾みがつく。それだけに、国民民主党がどう都議選を戦うのか?といったことは、永田町の関心事にもなっていた。