【北京=三塚聖平】イスラエルとイランの武力衝突の発生から20日で1週間となるが、中国は両者の仲介を試みつつも、対イラン攻撃に踏み切ったイスラエルを批判している。中国は、ともに対立する米国に対抗するためイランとの協力関係を深めており、苦境に陥るイランを擁護する姿勢を鮮明にしている。
中国外務省によると、王毅共産党政治局員兼外相は18日、エジプトのアブデルアティ外相との電話会談で、「イスラエルの国際法と国際ルールを無視した行為が中東情勢をにわかに緊張させている」とイスラエルを非難した。王氏は衝突発生後、イランとイスラエルを含む各国外相と相次ぎ電話会談を行い、緊張緩和に向けた仲裁役を担う考えを示している。
中国は、巨大経済圏構想「一帯一路」の下で行うインフラ投資などを通じてイランとの経済関係を深めてきた。イランは2023年、中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)に加盟した。
中国とイランの接近には、米国への対抗という政治・外交的な思惑もある。今回の事態がイランの体制崩壊にまで至れば、中国にとっては経済面だけでなく対米戦略の面でも痛手となる。
中国は23年にイランとサウジアラビアの外交関係の正常化を仲介するなど中東情勢への関与を増していた。イランを支えられなければ地域での影響力低下につながりかねないほか、米国への反感もあって中国を支持しているグローバルサウス(新興・途上国)の失望を招く可能性もある。