フジテレビ、元アナウンサーへの謝罪と補償で合意 中居正広氏「双方に人権」声明に疑問の声

フジテレビの清水賢治社長が19日、タレントの中居正広氏(52)を巡る女性トラブルを発端とした一連の騒動に関し、被害を受けたとされる同局の元女性アナウンサー(以下、女性A)と面会し、謝罪したことが発表された。今回の発表では、問題がフジテレビ側の「業務の延長線上」で発生したことを改めて認め、女性Aからの被害申告に対する適切な対応を怠った点、事案発生後も対外的な発信で精神的苦痛を与え続けた点についても謝罪の意が示された。

また、誹謗中傷対策などについても話し合いが行われ、女性Aが被った経済的・精神的な損害に対する補償を行うことで合意書が締結されたという。

同日、清水社長からの謝罪を受けた女性Aは代理人を通じ声明を発表。「第三者委員会の報告書が公表された時にもコメントしたように、私が受けた被害は一生消えることはありませんが、本日、会社からの謝罪を受け、上記の合意をしたことを一つの区切りとして、新たな気持ちで生きていこうと思います」と心境を述べた。

中居氏側の「人権尊重のお願い」声明

翌20日、フジテレビが女性Aに謝罪し補償合意に至ったことを受け、今度は中居氏側が代理人を通じて声明を提出した。

「人権尊重のお願い」と題された中居氏側のコメント全文は以下の通りである。

「今般、フジテレビ清水社長が女性に謝罪し補償合意をしたとのことです。今回の事案については、第三者委員会報告書における評価と当職らの法律的評価とにご存じの通り相違があります。本件を報道するにあたっては、出演者の表現を含めくれぐれも注意をお願いいたします。人権を尊重することは当然のことであります。双方に同じ人権があることを厳かにご認識いただきますよう重ねてお願い申し上げます。」

中居氏側の声明は、「双方に同じ人権があること」を主張するものと見られるが、これを巡ってインターネット上では様々な意見が飛び交っている。

ネット上での賛否と専門家の見解

中居氏の声明に対し、ネットニュースのコメント欄などでは疑問の声が多数噴出している。「人権を守る意識があるのであれば、今回の件は起こりえなかったはず」「被害者の人権を蹂躙するような行いをしておいて、自身の人権は尊重して欲しいとは都合が良すぎる言い草ではないか」といった批判的な意見のほか、「『全ての責任は私にある、引退で責任を果たしたとはまったく思っていない』などと言っておきながら、被害者への二次加害を助長させる言動を取っている」「加害者が被害者と同じように人権の尊重を求めても困ります」といった厳しい声も見られる。「もう波風立てずに静かに暮らしてはどうですか」という意見もある。

フジテレビ謝罪問題に関連する中居正広氏の近影、顔が痩せている様子フジテレビ謝罪問題に関連する中居正広氏の近影、顔が痩せている様子

ある芸能関係者は、中居氏が「双方に同じ人権がある」とコメントした背景について、「現在、中居さんが見解を述べる機会や場所がまったく無いことも要因の一つとして考えられる」と分析する。中居氏は5月に第三者委員会への「反論文書」を公表し、「本件には『性暴力』という日本語から一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為の実態は確認されませんでした」と、加害の暴力性を否定する主張を行っていた。その後、中居氏側と第三者委側との間で数回の声明の応酬があったが、6月初旬に第三者委側は「今後は貴職らとのやりとりを差し控えさせていただく」とし、中居氏側との対話を事実上打ち切っているという。

芸能関係者は、「もちろん、中居さんが一般論として『自分にも人権がある』と主張することは、間違ったことではありません」としつつも、「とはいえ、今回の騒動が中居さん側の加害に端を発している以上、『はじめに人権侵害をしたのは当のあなたでは?』と疑問の声が挙がるのも、予想できたことではないでしょうか」と、声明への反発が起きるのも当然との見方を示した。

まとめ

今回の騒動は、フジテレビが元女性アナウンサーに対し謝罪し補償に合意した一方で、トラブルの発端とされる中居正広氏が「双方に同じ人権がある」と主張する声明を発表したことで、新たな局面を迎えている。フジテレビ側の責任を認める動きと、中居氏側の自身の立場からの主張が交錯し、特に中居氏の声明に対してはインターネット上で厳しい意見が多く見られる状況だ。この問題は、個人の人権、メディアの責任、そして公的人物に対する社会の視点など、複雑な要素が絡み合っており、今後の推移が注目される。