随意契約で備蓄米を安価に放出し、気炎を上げる小泉進次郎農林水産相だが、農業改革に向けて披露した一案が批判を浴びている。農家の投資負担の軽減を狙い、農業機械のリース拡大を打ち出した。しかし、SNSなどで「使う時期はみんな一緒で、リースできない」との指摘が相次いだ。農機のシェアリングサービスを手掛ける大手も「コンバインや田植え機は事業化が難しい」と説明している。
■SNSで「農業分かっていない」
小泉農水相は17日、経団連との懇談後、「米農家は2000万円のコンバインを1年のうち1カ月しか使わない。買うのではなくてレンタルやリースがサービスとして当たり前の農業界に変えていく」と強調。その後出演したテレビ番組でも「全国で見ると、田植えの時期も収穫の時期も違う」と国内の気候差を利用すればサービスも全国展開できると持論を崩さなかった。
こうした発言にSNSでは「農業を分かっていない」「考えが浅い」といった投稿が相次いだ。
■作業時間かぶる「コンバイン」
農機大手のクボタは2021年春から農機のシェアリングサービスを開始している。24時間、いつでも予約して借りることができる。協力自治体は17に増え、全国23拠点でサービスを展開。登録者数も数百人にまで拡大している。
取り扱うのは田畑を耕すトラクター。同社は「早朝や夜間など、希望にばらつきがあるため、時間貸しが成り立つ」といい、利用者も新規就農者から、規模拡大を目指して、設備を一時的に増強したい農家まで幅広い引き合いがあるという。
ただ、田植え機や収穫で使うコンバインは、「同一地域だと作業時間もかぶるため収益化が困難」としている。国内の気候差を利用した全国展開も「田植え機やコンバインは自走できないため、輸送に時間も費用もかかる。成り立つスキームではない」とした。
全国農業協同組合連合会(JA全農)グループも08年からトラクターや田植え機のレンタルサービスを継続している。コンバインのリースはグループ会社が17年に開始したが25年3月末で終了している。
■真意は「農家が変化の一手を」か