物価高対策や「政治とカネ」が争点となった東京都議選が22日投開票された。自民党は「政治とカネ」、国民民主党は参院選の候補者公認と見送りを巡る混乱などで、無党派層が多い首都の「風」は吹いたりやんだり。ただ「旋風」にはならず、突出した勝者が見えにくい決戦となった。
小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」代表の現職、森村隆行氏(51)は、青梅市(定数1)で3選を確実にし、市内の事務所で支援者らと喜んだ。都民フの他の候補者も順調に議席を獲得しており、「小池都政への一定の評価をいただいた」と分析。物価高や少子化対策に関し、「支援が届いていない方々への支援を強化したい」と述べた。
青梅市は自民党都連会長の井上信治・元万博担当相の選挙区に含まれ、長く「自民の牙城」とされてきた。だが地方選では都民フが過去2回の都議選で勝利し、2023年の市長選でも推薦した新人が自公系現職を降した。今回更に「地殻変動」を印象づけた形だ。
都民フは設立直後に迎えた17年の都議選で、追加公認含め55議席を得て躍進。ただ21年の前回選で自民に敗れ、第2会派に甘んじていた。
第1会派奪還を目指す今回は37人を擁立。小池氏が告示後だけでも40カ所以上で応援に入って「都政を一緒に進めている」とアピールした。小池都政で進めた保育料や小中学校給食費、高校授業料の無償化などを都民フとしても実績に掲げ、支持を拡大。物価高対策に関心が集まる中、小池氏が選挙前に打ち出した今夏4カ月の水道基本料金無償化を歓迎する声も街頭で多く聞かれた。【野倉恵、田中綾乃】