スーパーコンピューターの開発をめぐり国の助成金を不正に受給したとして、詐欺や法人税法違反などの罪に問われたスパコン開発会社「PEZY(ペジー) Computing(コンピューティング)」前社長、斉藤元章被告(51)の論告求刑公判が3日、東京地裁(野原俊郎裁判長)で開かれた。検察側は「積極的に犯行を主導し、責任は極めて重い」として懲役8年を求刑した。
検察側は論告で「先端技術の開発を目的とする助成金を利用した巧妙で大胆な手口の詐欺」と指摘。「公的性質を有する助成金を私物化し、ほしいままに利用した極めて悪質な事案だ」と指弾した。
斉藤被告は初公判で、「真剣に開発を目指し当初から助成金をだまし取るつもりではなかったが、開発の遅れなどを報告すれば信頼を失いかねず、ルールに反し、だまし取ってしまった」と詐欺罪の起訴内容を認める一方、法人税法違反罪の一部については「脱税の意図はなかった」と無罪を主張していた。
起訴状によると、斉藤被告は助成事業の開発費を水増しした虚偽の報告書を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に提出し、平成26年3~4月、助成金約6億5300万円をだまし取ったなどとされる。