参院選の論点「皇位継承と皇族数確保」 各党の取り組みに見える課題

参議院選挙の火ぶたが切られました。主要メディアの一つであるNHKは、今回の選挙の争点として「皇位継承と皇族数確保」を取り上げましたが、これは物価高や少子化など、17あるテーマの中で最後に位置づけられています。実際のところ、主要政党の多くも、この問題を選挙戦の前面には押し出していません。しかし、選択的夫婦別姓問題などと同様に、皇位継承と皇族数確保は、日本の未来を考える上で避けては通れない重要なテーマであり、国民的な議論がより積極的に行われるべき課題です。

立憲民主党の姿勢

立憲民主党は、その「2025政策パンフレット」において、「皇位の安定的継承と女性宮家の創設に向けて、拙速ではなく、丁寧に国民の総意を作っていくための議論を行います」と明記しています。「女性宮家」の創設を明確に言及している点は注目に値します。しかし、これは『読売新聞』が提言したような「女系天皇の可能性も排除しない現実的な方策」といった、より踏み込んだ議論が行われている現在の状況から見ると、「女性宮家」のみに言及し、かつその議論も「今後行う」と述べるに留まる煮え切らない姿勢は、この党の弱さを示していると言えます。代表である野田佳彦氏がこの問題の議論を主導してきたにもかかわらず、党内での意見集約が進んでいないことが、このような曖昧な表現に繋がっていると考えられ、残念な点です。

皇位継承問題を特集した「サンデー毎日」2025年7月20日号の表紙皇位継承問題を特集した「サンデー毎日」2025年7月20日号の表紙

国民民主党の姿勢

国民民主党の「政策パンフレット2025」では、2017年の天皇陛下の退位に伴う国会付帯決議で、「安定的な皇位継承」「女性宮家の創設等」が重要な問題として示されたことを指摘しています。そして、「ここに表された重要な課題認識は、党派を超えた国会全体による重い意思表明である」と位置づけています。さらに、主権者である「国民の総意」に基づいた解決に導くため、「公党としての責任をもって検討を進めていきます」と述べ、一見すると積極的な姿勢を見せています。ところが、その具体的な方策については、有識者会議が提示した三つの案を挙げるだけに留まっており、議論が女性皇族の夫や子を皇族とするかといった具体的な段階に進んでいる現状に対応していません。具体的な解決策を示すことなく、有権者に聞き心地のよい一般論だけを訴え、時々の情勢によって微妙に表現を変えるという、この党らしい曖昧さが表れています。

日本維新の会の姿勢

日本維新の会は、「2025参院選マニフェスト」において、「古来例外なく男系継承が維持されてきたことの重み」を踏まえ、「国民的理解を広く醸成しつつ丁寧な議論を率先します」と述べ、「男系」による継承を前面に打ち出しています。その上で、「皇室の歴史に整合的かつ現実的である」とする旧宮家からの養子縁組案を、皇室典範改正に向けた第一優先の取り組みとしました。これは、党勢が伸び悩む中で保守層への呼びかけを意識したものと見られます。しかし、旧宮家養子案に対する世論の支持は現在2割から4割台に留まっており、「国民的理解」が広がっているとは言えない状況です。こうした現状や、同じ公約を掲げた昨年の衆議院選挙で支持が広がらなかった現実を、党としてどのように捉えているのかが見えてきません。また、別途公表している「維新八策(個別政策集)」でもマニフェストと同じ表現が繰り返されており、この重要な問題に対する踏み込み不足が指摘されます。

結 論として、今回の参議院選挙において、「皇位継承と皇族数確保」という国家の根幹に関わる重要な論点に対し、主要政党の多くは十分な prioritiz ションを行わず、その具体的な方策についても曖昧さや、国民の理解を得られていない案に依存する姿勢が見られます。これは、国民的な議論を深め、将来にわたる安定的な制度を構築していく上で、各党が今後真摯に向き合うべき課題と言えるでしょう。

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