48歳で医師国家試験に挑み続ける男性 11浪、5度不合格でも「諦めない」

大学医学部への入学を目指し11年の浪人期間を経て、卒業までに6回の留年を経験、さらに医師国家試験には5年連続で不合格――。48歳となった今もなお、夢を追いかけ続ける「医師の卵」、ジンジンさんの波乱万丈な人生に迫る。彼は言う、「それでも私は決して諦めません」と。

48歳で医師国家試験に挑み続けるジンジンさんの肖像48歳で医師国家試験に挑み続けるジンジンさんの肖像

直近の挑戦:医師国家試験5度目の不合格

今年3月、前月に実施された医師国家試験の合否結果がジンジンさんのもとに届いた。合格基準は200点中160点以上とされる必修問題で、今回はあと10点届かず、これで5年連続の不合格となった。通常であれば大きく落胆する場面だが、彼は言う。「いやいや、さすがにショックでしたよ。でも、惜しいところまでいったので、そこは切り替えてまた明日から頑張ろうと思っています」と。

これまでの道のりは、大学入学を目指して11浪し、入学後、卒業までには6回の留年を経験、さらに医師国家試験には5年連続で不合格という、まさに想像を絶するものだ。たった1年の浪人や留年で将来に絶望する若者も少なくない中で、ジンジンさんの生き様は「不屈」そのものである。では、なぜ彼はそこまで「医師になる」という仕事にこだわるのだろうか?その問いに対し、彼はシンプルに答える。「困っている人の力になりたい。ただそれだけですね」。あまりに模範的な、耳障りの良い答えに、読者の中には「本当は経済的な安定や名声を求めているのでは?」と疑う人もいるかもしれない。さらに彼の真意を探るため、もう少し話を聞いてみた。

精神科医への道:運命を変えた一冊

では、具体的な「医師」の中でもなぜ精神科医なのか?きっかけは、小学生の頃からの漠然とした憧れから、現役の受験生時代には内科医を考えていたことにある。しかし、20歳の時に精神科医である木村敏先生の著書『心の病理を考える』という精神病理学に関する本を読み、大きな感銘を受けたのだという。さらに、高校時代の友人がうつ病で大学を中退した経験も重なり、「心の立証」というテーマに強い関心を持ち、精神科医を志すことを決意した。図らずも人生の転機を迎えたジンジンさん。しかし、学生時代から優秀な人材が集まる医師の世界において、彼は突出した存在ではなく、むしろ「いわゆる凡人」だったと語る。

医学部受験の壁と両親の心境

出身高校は、いわゆる進学校ではなかった。「その中でも成績は普通でした」と自己評価するように、彼自身も突出した学力の持ち主ではなかった。「そんな自分が本当に医師になれるのか、という話ですよね」と苦笑するが、当時はただひたむきに目標を追いかけていたという。当初は両親も応援してくれていた。しかし、医学部受験に落ち続ける年月が積み重なるにつれ、「やはり自分には無理なのかもしれない」という思いが頭をよぎるようになった。そして、最初の大きな関門である医学部合格を果たすまでに、実に11年間という長い足踏みを強いられることになる。当初、息子の夢を応援していたはずの両親も、この頃にはすっかり諦め顔になっていたという。

出典:Yahoo!ニュース (SHUEISHA Online) – https://news.yahoo.co.jp/articles/c8e4123bca73997aa32358dd8361bc74d6e4afee