中国ステルス爆撃機H-20開発進展の可能性とB-2機密漏洩スパイ

今年に入り、中国国内でダイヤモンド型やフライングウイング型のステルス航空機らしき写真が複数出現。開発中のH-20ステルス戦略爆撃機ではないかとの観測が広がり、その開発状況への関心が高まっています。

中国ステルス爆撃機H-20開発の謎

米国防総省はH-20の実戦配備を2030年代と予測していますが、最近の目撃情報は予想以上の進展を示唆します。1月に出回ったダイヤモンド型機体、5月に新疆ウイグル自治区付近で撮影されたフライングウイング型の機体は、米B-2ステルス爆撃機を彷彿とさせます。

中国SNSで話題となった、ダイヤモンド型ステルス機と推測される航空機中国SNSで話題となった、ダイヤモンド型ステルス機と推測される航空機

2024年5月に新疆ウイグル自治区付近で撮影された、フライングウイング型のステルス機と見られる航空機2024年5月に新疆ウイグル自治区付近で撮影された、フライングウイング型のステルス機と見られる航空機

一方で、長距離化に課題があり、中距離型を先行開発している可能性も指摘されています。現時点では、H-20の具体的な情報は概念図以外にほとんど公開されていません。

B-2機密技術と天才エンジニアの漏洩事件

米国のB-2ステルス爆撃機は、レーダー網を回避して目標を攻撃できる能力を持ち、重要な任務を遂行します。実際、今年6月にはイランの防空システムを突破し核施設を爆撃した事例が報じられました。

このB-2のステルス性能の核となる排気システム設計に貢献した航空エンジニア、ノシル・ゴワディア氏(81)は、米国から中国、ドイツ、イスラエル、スイスなど少なくとも8カ国へ技術を漏洩したスパイ罪で現在、禁錮32年の刑に服し、米コロラド州にある厳重警備刑務所ADXフローレンスに収監されています。彼の逮捕時期が中国のH-20開発開始時期と重なることから、彼の技術漏洩が開発に影響を与えた可能性が指摘されています。

B-2ステルス爆撃機の機密技術を漏洩した罪で収監されている元航空エンジニア、ノシル・ゴワディア氏B-2ステルス爆撃機の機密技術を漏洩した罪で収監されている元航空エンジニア、ノシル・ゴワディア氏

ゴワディア氏の貢献と技術詳細

15歳で博士号を取得し「天才エンジニア」と呼ばれたゴワディア氏は、ノースロップ社でステルス技術、特にエンジン排気による熱やレーダー探知を回避する設計開発を主導しました。

彼は極秘実験機「タシットブルー」開発に参加し、その技術はB-2に活かされました。B-2では、エンジンを翼内に収め、排気口を上向きかつ幅広い形状とすることで、高温ガスを急速に冷却・拡散。これにより赤外線追跡を困難にし、さらに排気口周辺の特殊材料が熱を吸収し、レーダー信号を散乱させることで、B-2の高いステルス性を実現したのです。

中国H-20の開発進展の可能性と、過去に起きたB-2機密技術の漏洩事件は無関係ではないかもしれません。ノシル・ゴワディア氏のような「天才」エンジニアが関わった高度なステルス技術が、国際社会の軍事バランスに微妙な影響を与え続ける可能性があります。この分野の動向は、今後も注視が必要です。


参照元: Yahoo!ニュース / 朝鮮日報日本語版