LG電子、営業利益が46%減 米通商政策と消費低迷が直撃 テレビ事業が苦戦

韓国家電大手LGエレクトロニクス(以下、LG)の営業利益が、わずか1年間でほぼ半減する大幅な減少に見舞われた。特に、米国トランプ政権による家電・鉄鋼関税の本格的な影響が懸念される以前に、すでに消費市場の冷え込みが始まっていたことが、この業績悪化の主な要因と分析されている。そのしわ寄せは、中国メーカーが急速に追い上げているテレビ事業に最も強く現れた。

LGが7日に公示した2024年第2四半期(4-6月期)の暫定実績によると、売上高は20兆7400億ウォン(約2兆2000億円)、営業利益は6391億ウォンだった。これはそれぞれ前年同期比で売上高が4.4%減、営業利益は46.6%減という厳しい数字だ。証券業界では、LGが前年同期比で25~29%程度の減益にとどまる8500億ウォン前後の営業利益を予想していたため、実際の成績は市場予測を大きく下回った形となった。

LGは今回の実績について、公式な説明として「主要市場における消費心理の回復が遅れる中で、米国通商政策の変化が関税費用負担と市場内競争深化につながった」と述べた。部門別に見ると、生活家電(洗濯機・冷蔵庫)事業や電装(電気自動車部品)、冷暖房空調(HVAC)事業は比較的堅調に推移したものの、テレビの需要が世界的に低迷し、さらに液晶表示装置(LCD)の調達価格やマーケティング費用が軒並み上昇したことが、全体の収益性を大きく圧迫したという。

ニューヨーク・タイムズスクエアに掲示されたLGエレクトロニクス製品のグローバルキャンペーン映像ニューヨーク・タイムズスクエアに掲示されたLGエレクトロニクス製品のグローバルキャンペーン映像

テレビ事業への影響:需要低迷とコスト構造の課題

興味深いのは、中国製テレビには米国が41.4%という高い関税をかけているにも関わらず、LGテレビが大きな打撃を受けた点だ。産業研究院によると、世界のテレビ市場の58%は中国産であり、中国製冷蔵庫・エアコンには55%、洗濯機には38%台の関税がかけられている。一方、LGやサムスン電子といった韓国企業は、米国向け輸出テレビの製造を主にメキシコで行っており、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)によりメキシコ産テレビの関税は現在0%だ。この状況から、一部では「トランプ政権が中国に高率関税をかけることで、韓国製家電が反射利益を得る可能性がある」という予測も出ていた。

しかし、実際にはLGテレビの業績は低迷した。産業研究院のキム・ジョンギ上級研究委員は、この背景について「個別国家に対する関税率よりも、テレビ市場全体の需要要因の方が大きいとみられる」と分析する。「グローバル家電需要が回復しない状況で、通商政策に伴う不確実性が高まったことを受け、消費心理が急激に萎縮した影響が大きい」と説明している。つまり、消費者が必要な家電以外への支出を控える傾向が強まったことが、テレビのような高価な耐久消費財の需要を直接的に押し下げたということだ。

業界では、韓国テレビメーカーの原価構造も影響を及ぼしたとみている。LGやサムスンは、中国勢との価格競争が激しいLCDテレビよりも、技術格差を維持しやすい有機EL(OLED)テレビを中心に事業を進めている。しかし、依然としてグローバル市場ではLCDテレビの需要が大きいため、LGは中国BOE社などからLCDパネルを大量に購入して使用している。第2四半期のLGテレビ事業部の原材料購入費の38%がLCDモジュール購入費だった。これに対し、LGは冷蔵庫や洗濯機の主要部品であるモーターやコンプレッサーなどを自社で製造しており、核心部品の技術力と価格交渉力において、テレビ事業よりも有利な立場にある。この核心部品における自社技術の有無が、テレビ事業の脆弱性として現れた部分だと言えるだろう。

下半期の展望と戦略:B2Bと質的成長に注力

下半期には、鉄鋼派生関税(冷蔵庫・洗濯機などに50%)の影響が本格化することが予測されている。このため、LGにとっての重要な課題は、消費者向け(B2C)家電事業でどのように収益性を守りつつ、データセンター用HVACや電装といった企業間取引(B2B)事業でどれだけ業績を補完できるかになる。さらに、機器販売だけでなく、反復的な収益を確保できるサブスクリプションサービスやウェブOS事業などで、「質的成長」に集中する計画だ。

LGは、今後の戦略について「主力である生活家電製品がプレミアム市場での支配力を力強く維持しており、製品とサービスを組み合わせたサブスクリプション事業も成長している」と強調した。また、「昨年下半期と比較して物流費の負担がやや軽くなる見通しなので、関税の影響を最小限に抑えつつ、健全な収益構造を確保すべく注力したい」と表明した。最近買収契約を締結した欧州の温水ソリューション企業OSOの買収を完了させ、欧州冷暖房空調市場の攻略を本格化する考えも示している。これらの取り組みにより、LGは市場環境の変化に対応し、持続的な成長を目指す方針だ。


参照元:
Yahoo!ニュース (中央日報日本語版)