ウクライナに過去最大規模のドローン攻撃、トランプ氏が追加支援を表明

ウクライナ当局者は9日、ロシアによる侵攻が始まって以降で最大規模となる無人機(ドローン)攻撃が行われたと明らかにした。この攻撃は、米国のトランプ大統領がロシアのプーチン大統領との和平交渉における姿勢を批判し、ウクライナへの新たな軍事支援を約束した直後に発生した。ウクライナ情勢は、大規模なロシアの攻撃と国際的な支援の動きによって緊迫した状況が続いている。

ウクライナの防空部隊がロシアの無人機を迎撃する様子(キーウ近郊、7月9日)ウクライナの防空部隊がロシアの無人機を迎撃する様子(キーウ近郊、7月9日)

侵攻開始以来最多の無人機攻撃

ウクライナ当局の報告によると、ロシアはウクライナ侵攻開始以降で最も多い741機の無人機による攻撃を仕掛けた。これは、これまでの最多記録だった今月4日の539機を大幅に上回る数である。ウクライナ空軍は、攻撃は過去最大規模であったものの、被害は限定的だったと発表した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は通信アプリ「テレグラム」を通じ、今回の無人機攻撃は「示威的な攻撃」であり、和平や停戦に向けた多くの努力が進められている最中に、ロシアがそれら全てを拒否している状況で起きたものだと述べた。同大統領は、パートナー国に対し、ロシアが新たな攻撃ではなく戦争終結を考えざるを得なくなるよう圧力をかける方法を知っており、平和を望む全ての国が行動を起こすべきだと訴えた。

主な標的と防空対応

今回のロシアによる大規模な無人機攻撃は、主にウクライナ北西部の都市ルツクを標的として行われた。攻撃の激しさから、近隣国であるポーランドは自国の領空を守るため、戦闘機を緊急発進させる事態となった。ロシアはここ数週間にわたり、ウクライナ各地への空爆を強化する傾向にある。

ルツク市が位置するボリニ州の軍行政府トップは、ソーシャルメディア上で「昨夜、州は再び大規模攻撃を受けた。ほぼ全ての無人機がルツクに向かっていた」と状況を報告した。

ウクライナ空軍は、ロシアから発射された無人機のうち718機を撃墜したと発表し、高い防空能力を示した。一方、ロシア国防省も、ウクライナが夜間にロシア領内へ無人機86機を発射したと主張している。

米国からの追加軍事支援表明

今回のロシアによる攻撃は、ホワイトハウスで48時間にわたる劇的な展開があった後に起きた。ドナルド・トランプ前米大統領は、ロシアのプーチン大統領が和平合意に真剣に取り組んでいないことに強い怒りを表明し、ウクライナへのさらなる軍事支援を約束したのである。

トランプ氏は7日、「ウクライナに武器を追加供与する。我々はそうせざるを得ない。ウクライナは自らを守らねばならない」と語った。さらに、「(ウクライナは)非常に激しく攻撃されている。主に防衛用だが、もっと武器を送る必要がある」と述べ、追加支援の必要性を強調した。

これに先立ち、米国防総省がウクライナ向けの兵器、特に防空ミサイルの一部供与を一時停止すると報じられていたが、トランプ氏の発言は、その方針を覆すものとなった。

まとめ

ロシアによる過去最大規模の無人機攻撃は、ウクライナ情勢の深刻化を示すと共に、国際社会、特に米国の対ウクライナ政策に影響を与えている。トランプ氏による追加軍事支援の表明は、ウクライナへの支援が継続される見通しを示す一方、ロシアの強硬な姿勢は和平への道のりが依然として困難であることを浮き彫りにしている。