長時間労働が常態化し、残業代が十分に支払われない日本の教師たち。この「定額働かせ放題」とも揶揄される実態が、教員不足に拍車をかけています。教育評論家である元教師すぎやま氏は、月100時間もの残業を行う教師の時給を換算すると、約1500円程度になるという現実を指摘しています。教員の過酷な給与・待遇の現実を探ります。
教員には食いっぱぐれがなく、安定して比較的高給だというイメージが一般的です。総務省の「令和5年4月1日地方公務員給与実態調査結果」によれば、小・中学校で平均月収約41万円、高校で約43万円(諸手当含む)とされ、年2回計4ヶ月分のボーナスを含めれば額面は高く見えます。しかし、これはあくまで額面の話であり、税金や社会保険料が多く引かれるため、実際に手元に残る手取り額は大幅に少なくなります。元教師の経験では、20代前半で月22万〜23万円、30代で月27万円程度が現実だったといいます。
この手取り額と長時間労働を考慮すると、教員の給与が時給換算でいかに低いかが浮き彫りになります。例えば、所定の月160時間勤務に加え、100時間の残業を行った場合、月の総労働時間は260時間。月給が仮に40万円だとしても、260時間で割ると時給は約1538円となります。
40万円 ÷ (160時間 + 100時間) = 1538.46円
教師の過酷な労働実態と給料を時給換算するイメージ資格が必要で責任も重い専門職でありながら、この時給はアルバイト並みです。他の公務員、例えば消防士や警察官には夜勤や休日出勤の手当が支払われ、週休2日制も守られています。一方、多くの教師は部活動指導などで休日も出勤せざるを得ず、実質「週休0日制」に近い状況です。このような低い実質賃金と過重労働、十分な休みが取れない現状こそが、教員志望者の減少と教員不足の深刻化を招く根本原因と言えるでしょう。「定額働かせ放題」と揶揄される現場の悲惨な真実が浮き彫りになっています。
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