先週、米国テキサス州中部を襲った豪雨と洪水により129人が死亡した中、再び激しい大雨が降り、広範囲に洪水注意報が発令されました。この新たな天候悪化の影響で、8日間にわたり続けられてきた行方不明者の懸命な捜索作業は中止され、現地で活動していた捜索隊員およびボランティア全員に避難命令が下される事態となっています。
新たな大雨と捜索活動の中断
米国気象局(NWS)は13日(現地時間)、テキサス州中部内陸部の通称「ヒル・カントリー」地域に対し、同日午後7時まで洪水注意報を発令しました。今月4日に壊滅的な洪水被害が発生したグアダルーペ川流域を含む、大都市オースティンとサンアントニオの北西内陸一帯がこの日の午前から洪水の影響圏に入っています。
米気象局の警報と専門家の見解
NWSは、当該地域の降水量が平均で51~102ミリに達する可能性があるとし、地域によっては最大305ミリという猛烈な雨が降る可能性も警告しています。すでに過去24時間で152~254ミリの降雨量が報告された地域も存在します。気象予報士たちは、今回の豪雨が先週の事故を引き起こした豪雨よりは弱い可能性があるものの、すでに大きな被害を受け地盤が極めて脆弱になっている地域では、ほんのわずかな雨でも甚大な被害を引き起こす可能性があるとして、接近しないよう強く呼びかけています。気象学者のオルランド・バミューデス氏はニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、「今日の雨はすぐに土壌に浸透し、すべてを崩壊させる可能性がある」と述べ、危険性を指摘しました。
川の水位と地元当局の対応
特にグアダルーペ川一帯には翌朝まで洪水警報が発令されており、予報士たちは住民に対して浸水した道路や橋を決して通行しないように重ねて警告しています。グアダルーペ川の水位は、同日午後までに氾濫基準より約1.5メートル高い4.6メートルに達する見込みと予報されており、非常に危険な状況です。地域当局と警察は、カービル市内の一部道路を通行止めにするなど、住民の安全確保に努めており、住民に対してより高台への避難を促しています。
テキサス州カービル地域で激しい雨により通行が遮断された道路の様子 (2025年7月13日)
最初の洪水発生と救助活動
今月4日、テキサス州中部の山岳地帯「ヒル・カントリー」地域に未曽有の大雨が降り、カー郡を経てサンアントニオ方向に流れるグアダルーペ川が記録的に氾濫しました。これにより、周辺地域に大規模な水害が発生しました。テキサス州のダン・パトリック副知事によると、当日の午前、グアダルーペ川の水位はわずか45分間で約26フィート(約7.9メートル)も急上昇したと報告されています。
犠牲者および行方不明者の状況
洪水発生後、当局はヘリコプターや救命ボート、ドローンなどを活用して、孤立した人々の救助を急ぐとともに、犠牲者の遺体収容作業を行いました。これまでに、氾濫当時、川の上流付近の宿泊施設に滞在していたキャンプ参加の子供36人を含む、合計129人の死亡が確認されています。しかし、未だに約160人の行方不明者の所在は不明のままとなっており、新たな大雨による捜索活動の中断は、不明者の発見に向けた努力に深刻な影響を与えています。
まとめ
テキサス州中部で発生した大規模な洪水は、すでに129人もの尊い命を奪い、160人以上が行方不明という壊滅的な被害をもたらしています。状況が収束しないうちに再び襲った大雨は、地盤の脆弱性を増し、さらなる災害発生のリスクを高めています。この新たな天候悪化により、行方不明者の捜索活動は一時中断を余儀なくされており、現地では住民への避難勧告が出されるなど、依然として予断を許さない状況が続いています。被害の全容解明と行方不明者の発見に向けた取り組みは、天候の回復とともに再開される見込みですが、被災地の復旧には長期的な支援が必要とされています。
参照元:
- Yahoo!ニュース (共同通信または関連ニュースソース)
- [AP通信](AP = 聯合ニュース写真情報より)
- ニューヨーク・タイムズ
- 聯合ニュース