[スワイダ 15日 ロイター] – イスラエルは15日、シリア南部スワイダ県でシリア政府軍に対し空爆を実施した。シリアの少数派イスラム教ドルーズ派を保護するための行動だとし、イスラエル国境付近の非武装化を維持すると強調した。
スワイダでは武力衝突が3日目に入っている。ロイターの記者によると、無人機(ドローン)が上空を飛び、銃撃音が断続的に響いた。
シリア外務省はイスラエルが今回の攻撃とその結果の責任を全面的に負うとし、ドルーズ派を含む全ての国民を保護すると表明。攻撃でシリア軍兵士と民間人が多数死亡したと述べたが、具体的な人数は明らかにしなかった。
シリア大統領府は「階級や地位に関わらず、違反や虐待行為を行ったと証明された者」には法的措置を取ると表明した。
米国のバラック特使(シリア担当)は「平穏と統合に向けて進む」ために全ての関係者と連絡を取っていると述べた。
米ニュースサイトのアクシオスは米当局者の話として、トランプ政権がイスラエルに対し、シリア軍への攻撃を停止するよう求めたと報じた。イスラエルは15日夜に攻撃を停止する意向を示したという。
イスラエルはドルーズ派保護を理由にシリアを複数回攻撃してきた。今回はドルーズ派の有力指導者ヒクマト・アルヒジュリ師が、シリア政府軍が停戦を破ってスワイダを爆撃したと非難し、戦闘員に政府軍と対峙するよう呼びかけた後に攻撃を実施した。
ネタニヤフ首相とカッツ国防相は共同声明で「イスラエルは国内のドルーズ派市民との強い連帯に基づき、シリアのドルーズ派への危害を防ぐことに尽力している」と強調。「われわれは(シリア政権による)ドルーズ派への危害を防ぎ、シリアとの国境に隣接する地域の非武装化を確実にするために行動している」と説明した。
シリアのアブカスラ国防相はアルヒジュリ師の声明発表後、完全な停戦が実施されたと表明。政府軍は攻撃を受けた場合にのみ応戦すると述べた。