トランプ氏、対ロ強硬姿勢へ転換か ウクライナ停戦巡り「不満」露呈、武器供与再開へ

トランプ前米大統領が、ウクライナに侵攻するロシアに対する従来の融和姿勢から転換し、より強硬な路線を示している。ロシアの貿易相手国に対する「二次関税」を示唆し、50日以内の停戦を迫る一方で、ウクライナへの新たな武器供与も表明した。この背景には、停戦協議に応じないロシアのプーチン大統領への明確な不満がある。

トランプ米大統領とプーチン露大統領が会談中。ウクライナ問題における両者の動向を象徴。トランプ米大統領とプーチン露大統領が会談中。ウクライナ問題における両者の動向を象徴。

プーチン氏への「不満」と停戦交渉の行き詰まり

トランプ氏は、就任前に「24時間以内に戦争を終わらせる」と豪語し、プーチン氏を説得できると自信を見せていた。しかし、戦況で優位に立つロシアは現在も攻撃の手を緩めていない。トランプ氏は3日のプーチン氏との電話会談後、「(停戦では)何の進展もなかった」と不満を漏らし、14日には「彼ら(ロシア)に非常に強い不満を抱いている」と、その憤りを隠そうとしなかった。

ウクライナ支援強化とゼレンスキー氏の努力

一方でトランプ氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領との4日の電話会談で、米国製防空システム「パトリオット」用ミサイルを含む防空能力支援を約束した。国防総省が一時停止したとされるウクライナへの武器供給も再開させている。これにはゼレンスキー氏の懐柔努力も重なった。2月28日のホワイトハウスでの首脳会談では激しい口論があったものの、ゼレンスキー氏はその後、トランプ氏が求めていた鉱物資源協定に合意し、たびたび米国への感謝を口にするなど、関係修復に努めてきた。

NATOと米議会の動向

北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長や欧州諸国首脳も、この動きに一役買っている。6月のNATO首脳会議では、トランプ氏が求める防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる新目標で合意がなされた。トランプ氏とは関税政策で対立が続くものの、安全保障の議論では歩み寄りがみられている。また、トランプ氏に近いグラム上院議員らが、ロシアの石油を購入する国々に最大500%の関税を課す法案を提出するなど、米議会でも対ロ強硬論が目立っている。

結論

このような状況を受け、米シンクタンク「大西洋評議会」のジョン・ハーブスト氏は「今回の発表は、ウクライナの和平実現に向けた継続的な努力の始まりでなければならない」と指摘。気まぐれな側面もあるトランプ氏に対し、今後のウクライナ問題解決に向けた「一貫性」を求めている。

参考文献

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