7月20日に行われた参議院選挙の開票特番は各局で組まれましたが、フジテレビ系列の名古屋の放送局、東海テレビ『ニュースONE』に出演した元乃木坂46メンバーの山崎怜奈氏の言動が、SNS上で大きな注目を集めています。特に、ある政党に対する彼女のコメントが「報道の中立性」を巡る議論を巻き起こしており、その姿勢が問われています。
昨年も注目された山崎怜奈氏の“政治報道”への関与
山崎氏は、昨年7月の東京都知事選開票特番『Mr.サンデー “七夕決戦”都知事選SP』(フジテレビ系)に出演し、その知名度を飛躍的に高めました。政治ジャーナリストによると、この番組での山崎氏と都知事選で2位に付けた元安芸高田市長・石丸伸二氏とのやりとりは特に話題となり、山崎氏は石丸氏に鋭い質問を投げかけました。石丸氏から厳しい返答があったにもかかわらず、彼女はさらに質問を続けるという“食いつき”を見せ、その“対決”はオールドメディア批判を公言していた石丸氏への批判に繋がり、山崎氏は「政治に詳しい元アイドル」としての評価を確立しました。
今回はフジテレビ本局ではなく系列局の特番への抜擢となりましたが、X(旧Twitter)上では、彼女の言動に対する批判の声が少なくありません。「山崎怜奈さん、もう報道系に出ないほうがいいんじゃないかな」「選挙番組というある程度は中立が求められる中で、ああいった言動をするのはいかがなものかと思う」といった意見が相次ぎました。
参政党へのコメントが「中立性に欠ける」と批判の的に
こうした批判の声が相次いだのは、山崎氏が番組内で躍進した参政党に対し、終始批判的なスタンスを取っていたためだと、前述の政治ジャーナリストは指摘しています。山崎氏は参政党の躍進について問われると、苦々しい表情で「現状に対する不満が神谷(宗幣)さんをカウンターとすることによって放出されている」「SNSは拡散しやすい。今までのビラ配りやポスター貼りをはるかに超えて広がっている。しかも水面下で」などとコメントしました。これは、参政党の勢い拡大を「不気味なもの」として捉えるかのような物言いでした。
参院選特番出演時の山崎怜奈氏の表情。疲労感が見えることからファンからは心配の声も上がった。
経験豊富なジャーナリストとの比較に見る「中立性」の重要さ
一方、参政党の躍進について、ベテラン政治評論家の田崎史郎氏は『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で客観的なコメントを寄せていました。田崎氏は、参政党躍進の背景として、言葉の分かりやすさ、ネット活用に加え、「党員が8万5千人いるんです。神谷さんがこの3年間コツコツと培ってきたリアルの世界の支持ですね」と分析していました。この田崎氏の客観的なコメントと比較すると、山崎氏のコメントは「参政党嫌い」が前面に出てしまっていた印象が強く、報道番組に求められる「公正中立」なスタンスが不足していたのではないかという見方ができます。
SNSコメント欄閉鎖の背景と「本音」の露呈
現在、山崎氏はXのコメント欄を閉鎖していますが、これは昨年の石丸氏との“対決”後にコメント欄が荒れた経験を受けての措置だと考えられます。しかし、この対応自体も「個人の考えにせよ言いっぱなしで自分のアカウントのコメント欄オフにしてるのどうなんだろ」といった批判の声に繋がっています。
山崎氏は、ラジオの帯レギュラー番組『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(TOKYO FM)でも時事ニュースに積極的にコメントをしています。今回の選挙特番での発言は、彼女が抱える「参政党苦手」という本音が「誰かに話したかった」ものだったのかもしれませんが、その露骨な態度が視聴者の不評を買う結果となってしまいました。
結び
山崎怜奈氏の参院選開票特番でのコメントは、その個人の見解が公共の電波に乗る報道番組での「中立性」という重要な原則とどう向き合うべきかという問題を提起しました。特に選挙報道においては、感情的な側面を排し、客観的事実に基づいた公正な情報提供が求められます。タレントや著名人が政治的な発言をする際には、その影響力の大きさを踏まえ、より一層の慎重さが求められると言えるでしょう。今回の件は、メディア出演者の報道姿勢に対する世論の関心の高さを浮き彫りにしています。