サウスパークのAIトランプ風刺にホワイトハウス激怒:過激描写と政治批判の波紋

米ホワイトハウスは24日、人気アニメシリーズ「サウスパーク」の制作陣に対し、人工知能(AI)で生成されたドナルド・トランプ前大統領の裸の描写を含む下品な風刺について激しく非難しました。この物議を醸すエピソードは、AI技術と政治的批判の境界線を巡る新たな議論を巻き起こしています。

ホワイトハウス、番組の「適合性喪失」を主張

ホワイトハウスのテイラー・ロジャース報道官は、サウスパークが「20年以上適合性を失っており、注目を集めるために無理やりアイデアを絞り出している」と厳しく批判しました。さらに報道官は、「トランプ大統領はわずか半年で、わが国の歴史上どの大統領よりも多くの公約を果たしてきた。三流の番組がトランプ大統領の好調を妨げることはできない」と述べ、番組の主張を一蹴する姿勢を示しました。

過激な描写と政治的風刺の連続

サウスパークの新シーズン初回放送では、アニメ版のトランプ氏がサタンとの性交渉を試みるが、性器が小さすぎるために拒絶されるという過激なシーンが描かれました。また、このエピソードでは、米公共ラジオNPRが大統領によって放送停止になったことに主人公の一人カートマンが激怒し、公立小学校にイエス・キリストがいることに親の一人ランディが動揺するなど、米国の社会問題が頻繁に取り上げられています。フィクション内のホワイトハウスからの苦情に対しては、トランプ大統領がサウスパークの町を数十億ドルで訴えるという脅しが返ってくるのみでした。

ドナルド・トランプ前米大統領の肖像写真。米国の政治とエンターテインメントの論争の中心人物。ドナルド・トランプ前米大統領の肖像写真。米国の政治とエンターテインメントの論争の中心人物。

さらに、アニメ版のトランプ大統領が「イラクにしたように」カナダを空爆すると脅迫する場面では、カナダの首相から「イランを爆撃したんじゃなかったのか?」と返されると、「イランとイラク、何が違うんだ?」と応じるなど、国際政治に関する知識不足を風刺するやり取りも含まれていました。エピソードの終盤では、サウスパークの町が大統領と公共サービスの発表を行うことに合意する金融取引を行うことで物語が締めくくられています。

AI生成短編と象徴的なメッセージ

番組内で公開されたAI生成の短編映像では、トランプ氏が砂漠をよろめきながら歩く様子が描かれ、ナレーターが彼を現代のイエスとして描写する場面がありました。ナレーターは「トランプ。彼のペニスは小さいが、われわれへの愛は大きい」と語り、AI技術を用いた風刺表現の新たな可能性と、その中に込められたメッセージを提示しました。サウスパークは現在27シーズン目を迎え、米国の生活における新たな問題を頻繁に取り上げる大人向けアニメシリーズとして、世界で最も価値のあるテレビ番組の一つであり続けています。

結論

人気アニメ「サウスパーク」によるAI生成画像を用いたトランプ前大統領への風刺と、それに対するホワイトハウスからの公式な非難は、現代社会における表現の自由、政治的批判のあり方、そしてAI技術の倫理的利用について、改めて議論を提起するものです。この出来事は、エンターテインメントが政治に与える影響と、その反響が今後どのように展開していくかについて、国際社会からの注目を集めることでしょう。


情報源:

  • AFP通信
  • 時事通信
  • Yahoo!ニュース