参政党・梅村みずほ議員、「朝生」での議論姿勢が波紋:躍進の背景と世論の反応

2022年の参院選で1議席から14議席へと大躍進を遂げた参政党は、代表の神谷宗幣氏(47)や東京選挙区で当選したさや氏(本名・塩入清香、43)らが注目を集める中、比例代表で当選した梅村みずほ氏(46)もまた、その躍進を支えた重要な存在として注目されています。彼女は7月27日に放送された討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)に出演し、その独特な議論スタイルが大きな波紋を呼びました。

参政党の梅村みずほ参院議員(写真:時事通信)参政党の梅村みずほ参院議員(写真:時事通信)

参政党躍進の立役者、梅村みずほ氏の政治的背景

梅村氏はもともと日本維新の会に所属し、2019年7月の参院選では大阪選挙区から出馬して約73万票を獲得しトップ当選を果たしました。しかし、2022年の党代表選挙では馬場伸幸氏(60)に大差で敗北。翌2023年には、2021年に名古屋出入国在留管理局で亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんを巡る国会質疑において、党の方針に反したとして6カ月の党員資格停止処分を受けています。参院選を控えた今年4月の党内予備選で敗れると、同月に「維新のガバナンス不全」を理由に離党。6月30日付で参政党への入党を発表しました。この梅村氏の入党により、参政党は所属国会議員数が5人以上という政党要件を満たし、日本記者クラブ主催の討論会への出席が可能になるなど、同党のメディア露出増加と躍進に大きく貢献しました。

笑顔でメロンパンを持つ梅村みずほ参院議員。「デマの流布にご注意」の文字と共に笑顔でメロンパンを持つ梅村みずほ参院議員。「デマの流布にご注意」の文字と共に

「朝まで生テレビ!」での激論:外国人政策を巡る攻防

今回の参院選では外国人政策が主要な争点の一つとなり、「日本人ファースト」を掲げる参政党がその急先鋒に立ちました。『朝まで生テレビ!』で共産党の山添拓参院議員(40)は、選挙で自民党政治の責任を問うべきだったにもかかわらず、外国人政策にすり替わり、「外国人に対する、事実に基づかないデマと言っていい話がふりまかれ、偏見が煽られた」と指摘しました。

これに対し、梅村氏は「それは違うと思います」と反論を試みますが、山添氏が「外国人が増えて、犯罪が増えた。いや、むしろ検挙件数は減っている。20年で3分の1ですよ。(外国人が)生活保護を悪用している。そういう事実はありません。生活保護(受給率)は3割という話もあったが、3パーセントに満たない。外国人が国民健康保険を悪用していると。国保に入っている人はいますけど、(加入率の割に)医療を受けている人は少ない。むしろ保険料を払って、支え手にもなっている。にもかかわらず、デマを振りまいている」と具体的なデータを示して畳み掛けました。

梅村氏は「山添さんのように擁護をしてきたから、『区別』と『差別』がわからない。検挙率が減ったからと良いわけがないんです」と反論し、山添氏から「じゃあ、梅村さん。外国人が増えているが、犯罪が減っていることはお認めなんですね?」と問われると、梅村氏は「減っている」と事実を認めました。その後、数秒間の問答が続いた末、梅村氏は山添氏を見据え、「結果を見たらわかるじゃないですか。選挙で民意を得たのはどちらなのです?」と言い放ち、議論を「民意」の獲得状況へと転換させようとしました。しかし、山添氏が「それがデマに基づくものであれば、世論を誘導してますよ」と反論すると、梅村氏は「そんなことはございません」ときっぱり否定しました。

外国資本と経済政策に関する質疑

番組では「外国マネー」も議題に上り、参政党が外国資本流入に対する一定の規制を訴える「反グローバリズム」政党である点を踏まえ、立憲民主党の吉田晴美衆院議員(53)が梅村氏に対し質問を投げかけました。「東京証券取引所の6割は海外の機関投資家。そのマネーが引き上げられたら日本経済はどうなるのでしょうか。大企業の株主にも、たくさんの外資が入っています。それを全部引き上げたら日本経済はどうなるのでしょうか。もう一歩進んだところの経済の議論、共生に向かって、我々に何ができるか。日本に暮らすみなさんの生活を豊かにしていく。それはおそらく、ここにいる政治家みんな同じ気持ちだと思います」と、より深い経済的視点での議論を促しました。

これに対して梅村氏は、ここでも「そういう風におっしゃいますけど、(立民の)議席が伸びてないのはなぜか考えてくださいよ」と、再び選挙結果を引き合いに出して反論。吉田氏があ然とする中、日本維新の会の守島正衆院議員(44)が「外国資本を否定するなら、日本製鉄のUSスチール買収に反対なんですか?」と問いかけると、梅村氏は「程度の問題です。地政学上、日本と中国は近いんです。中国もじゃんじゃん入ってきて、野放図になってるんです。でも、私たちは出て来たばかりの政党で、今すぐに“海外マネー出ていけ”とできるわけないでしょ。(反グローバリズムを掲げているが)すぐには出来ないのは確かですよね。でも、こういうメッセージが刺さるというのは、自民党が政策を打ってこなかったから」と答え、与党の責任を問う場面も見られました。

議論スタイルへのSNSでの疑問の声

しかし、X(旧Twitter)上では、政策議論の場で「民意」や「議席数」をたびたび引き合いに出して相手を言い込めようとする梅村氏の議論スタイルに対し、以下のような疑問や批判の声が多数上がりました。

  • 「論理的反論が出来ず苦し紛れに『民意を得たのはどちらか?』と民主主義を全く理解していない議席数マウント」
  • 「議論に議席数関係ないのになんで梅村さんはマウント取るんだろう」
  • 「参政党支持者で梅村議員推しです。梅村さんが言ってることは正論だと思うけど今回の『議席が伸ばせなかったのが物語ってる』って意見はちょっと乱暴だし小学生の喧嘩みたいだなって思っちゃいました」
  • 「小学生の小競り合いで『お前の母ちゃん出べそ』並にレベル低すぎんねん」

これらの反応は、政策論争において事実や論理に基づく議論の重要性が広く認識されていることを示唆しています。

まとめ

参政党の躍進に貢献した梅村みずほ参院議員が、『朝まで生テレビ!』で見せた議論スタイルは、選挙で獲得した「民意」や「議席数」を盾にする傾向が目立ちました。外国人政策や外国資本に関する具体的な政策論争の中で、データや論理的根拠よりも、選挙結果を根拠に相手を退けようとする姿勢は、SNSを中心に多くの疑問や批判を招きました。これは、政治家が国民の代表として果たすべき議論の質と、有権者が求める政策理解の深化との間に生じる乖離を示しているとも言えるでしょう。今後、参政党がどのように政策論争を進めていくのか、梅村氏の議論スタイルが党のイメージにどのような影響を与えるのかが注目されます。

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