「学費無料」を悪用か? 中国で横行する“日本移住スキーム”の実態

日本国内の出生数が統計開始以来初めて70万人を割り込む中、政府は少子化対策として教育無償化などの子育て支援を強化しています。同時に、労働力不足を補うため、外国人労働者の受け入れにも積極的で、各種ビザや永住資格の要件緩和により在留外国人数は過去最高を更新し、今年中には400万人を超えると見られています。しかし、こうした政策を巧妙に悪用し、「日本に移住すれば大学まで学費無料」と謳う“日本移住スキーム”が中国の一部で密かに広がっていることが明らかになりました。

少子化対策と移民受け入れ政策の背景

厚生労働省の統計によれば、昨年国内の出生数は68万6000人にとどまり、1899年の統計開始以来、初めて70万人を割り込む深刻な状況にあります。これに対し、政府は子育て支援策の拡充、特に教育無償化を進めています。一方、国内の労働力不足を補うため、政府は外国人労働者の受け入れを積極的に推進。ビザや永住資格の要件緩和により、日本への門戸が大きく開かれ、在留外国人数は過去最高を更新し続けています。こうした政策は、日本の人口減少問題への対応策として導入されました。

巧妙に悪用される「日本移住スキーム」の登場

人口減少への対応策として進められる「教育無償化」と「移民受け入れ」という二つの政策が、一部で合わせ技のように悪用され、水面下で“日本移住スキーム”が拡大しています。ある“移民ブローカー”の宗仁平氏(仮名・50代)は、「在留資格の取得が容易であることや、円安の影響で物価が安いこともあり、欧米には行けない中間層の間でも日本移住への関心が高まっている」と語ります。特に最近は、日本の修学支援制度が注目されており、それを目当てに家族で日本に移住する中国人が少なくないとのことです。

中国のSNSで拡散される「学費無料」を謳った日本移住スキームの広告イメージ中国のSNSで拡散される「学費無料」を謳った日本移住スキームの広告イメージ

宗氏のようなブローカーが中国のSNS「小紅書(Red Note)」で「日本に移住すれば大学まで学費無料」「東京大学で無料で学士号を取るまでの道」といった投稿を拡散している状況が確認されています。

「合法的な手続き」と主張する手口

「無料で学士号を取る」ことが本当に可能なのかという疑問に対し、宗氏は「不正ではなく、あくまで法律で定められた手順を踏んだ合法的な手続きで、修学支援の受給が可能です」と胸を張ります。確かに日本では高校授業料の無償化が段階的に拡充されていますが、大学の学費は別途発生するのが通常です。この“日本移住スキーム”がどのような「カラクリ」で「合法」と主張するのか、その詳細は一般にはまだ知られていません。この問題は、日本の政策の意図とは異なる利用がなされている可能性を示唆しており、今後の動向が注目されます。


参考文献