乗客乗員520人が犠牲となった日本航空のジャンボ機墜落事故から12日で40年となる。事故機に搭乗予定で、直前にキャンセルした俳優の東ちづるさん(65)が初めて取材に応じ、当時の記憶やいまの思いを語った。
【写真】520人が犠牲になった修理ミス 墜落機内で残した言葉と事故原因
1985年8月12日午後6時56分、乗客乗員524人を乗せた日本航空のジャンボ機123便が群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落し、520人が犠牲となった。単独機としては、今も世界最悪の航空事故だ。
当時、4年間働いた会社を辞め、芸能界に進むかどうか、迷っていた頃だった。友人と遊ぶために大阪から上京し、日航123便で戻る予定だったが、別の友人と会うため、直前に一つ遅い便に変えた。
変更した便で大阪空港(伊丹)に到着すると、集まっていた報道関係者の多さに驚き、事故を知った。
「私がキャンセルしたことで、犠牲になった人がいるかもしれない」
自責感と恐怖、信じられない気持ちに急に襲われ、目の前に霧がかかったような感じがして、足が震えた。
芸能界に進んでも、犠牲者や遺族への申し訳なさから、当時を語ることは無かった。しかし、転機は3年前の8月12日だった。自身の経験と事故の犠牲者への追悼のメッセージを初めてSNSで投稿したが、想像以上に周囲の関心は低かった。事故の記憶の風化が進む怖さを感じ、迷いつつも、気持ちが変わった。
「少しでも多くの人が、空の安全に目を向けてほしい。語ることで、そのきっかけになってくれれば」と話す。(玉那覇長輝)
朝日新聞社






