トランプ高関税が激変させる世界経済:各国対応と「反米」連合の台頭

米国が課す「トランプ関税」が世界経済に広範な影響を及ぼし、国際貿易構造と国家間の協力関係を大きく変容させています。特に、韓国、カナダ、メキシコ、ブラジル、中国といった主要貿易相手国は、それぞれの立場でこの新たな保護主義的動きに対応を迫られています。一方的な関税政策は、米国内の経済にも波紋を広げ、著名な経済学者からは厳しい批判の声が上がっています。

各国への関税適用と特例措置

米国が対外輸出品に課す高率の相互関税は、多くの国に影響を与えています。例えば、韓国に対しては多くの製品に15%の相互関税が適用されています。一方で、カナダとメキシコは表向き35%と25%という高率の相互関税を受け入れましたが、その被害は限定的です。これは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に「原産地商品に対し既存の関税を引き上げたり新しい関税を賦課したりできない」という条項が存在し、大規模な例外品目が設定されているためです。カナダ首相は、米国の平均関税率が低水準にあり、両国間の貿易の85%以上が無関税で維持されていると述べ、メキシコ経済相も同様に84%以上が無関税であることを明らかにしました。

ブラジルに対しては相互関税10%と別途関税40%の計50%という高関税が課されましたが、航空機部品などには例外が設けられています。中国に対しては一時的に報復関税が猶予され、「関税休戦」の状態が続いています。

米国内経済への影響と専門家の警告

イェール大学予算研究所(TBL)の推計によると、今回の関税賦課によって米国の平均実効関税率は今年初めの2.5%から18.3%に急騰しました。これは1934年以来91年ぶりの高水準です。TBLは、この税率上昇が2025年基準で世帯当たり収入が2,400ドル減少するのと同等の経済効果をもたらすと説明しています。経済専門紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、現時点では米国企業が関税によるコスト増加に耐えているものの、一部は間もなく消費者価格に転嫁されるだろうと診断しています。

ノーベル経済学賞受賞者であるニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授は、自身のブログでトランプ政権の関税政策を「皇帝の新しい貿易協定」と題して批判しました。「関税も悪いが、錯覚に陥った大統領はさらに危険だ」と述べ、トランプ大統領の関税が、対米商品輸出がGDPのわずか3%に過ぎないEUの米国市場依存度をさらに低下させるだけでなく、欧州や他の貿易相手国の報復を誘発する可能性を警告しています。

「反トランプ」勢力の結集と国際秩序の変化

トランプ大統領が主唱する新たな体制に対し、「反体制」諸国の結集が表面化しています。その中心にいるのは米国が牽制しようとしている中国であり、中国を中心に50%の「関税爆弾」を受けたインドとブラジルが連携を深める動きが見られます。ブラジル大統領府は、ルラ大統領とインドのモディ首相が電話会談し、世界の経済状況と一方的な関税賦課問題について議論したことを明らかにしました。ルラ大統領は以前のインタビューで、中国とインドにまず連絡すると述べ、中国中心の非西側経済連合であるBRICSを対トランプ戦線で活用する可能性を示唆しています。

外交筋は、こうした動きについて、「多くの国は米中覇権競争で最終的に米国が勝利すると見ているため、不合理な要求を受け入れざるを得ない側面がある」と指摘しています。特に韓国をはじめとする、米国と経済・安全保障など全分野での協力が不可欠な同盟国は、「目立って叩かれることは避けなければならない」という戦略を立てるほかない状況にあると分析されています。

結論

トランプ政権下の高関税政策は、グローバルな貿易関係に深刻な影響を及ぼし、米国経済にさえその反動が及び始めています。各国は多様な戦略でこれに対応しており、特に非西側諸国間での連携強化の動きは、今後の国際政治経済秩序の再編を示唆しています。この複雑な状況は、引き続き世界中の注目を集めることでしょう。

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