田久保伊東市長、辞職撤回後の「水面下」発言を訂正:メガソーラー計画巡る行政の溝

静岡県伊東市の田久保真紀市長は、2025年7月31日の記者会見で辞職の意向を撤回し、続投を宣言しました。その理由として、自身の公約である新図書館建設計画の中止と伊豆高原メガソーラー計画の白紙撤回を挙げ、「水面下で激しく動いている」と主張しました。しかし、この「水面下」という表現が波紋を呼び、後に市長は発言の一部を訂正することとなりました。

「水面下」から「周知の事実」へ:発言の訂正とその背景

8月8日、伊東市の公式サイトには、田久保市長による発言訂正の内容が掲載されました。市長は、「水面下という言葉が市民のみなさまの不安や疑念を招く恐れがある」との指摘を政策会議で受け止め、「水面下で激しく動いている」という発言を訂正したと説明しています。今後は、市民に対し「見えない所で何かが行われているのではないか」という懸念を抱かせないよう、これら2つの事業に関する調査結果や事実関係、進捗状況を速やかに公開し、行政の透明化に努めると強調しました。

伊東市ウェブサイトに掲載された田久保真紀市長の肖像。辞職撤回とメガソーラー計画を巡る発言で注目される。伊東市ウェブサイトに掲載された田久保真紀市長の肖像。辞職撤回とメガソーラー計画を巡る発言で注目される。

この訂正の背景には、伊豆新聞や静岡第一テレビの報道がありました。5月末に伊東市議が田久保市長に対し、LINEを通じてメガソーラー計画に賛成する住民が市役所にいたことを伝えたところ、市長から「河川の許可が出ることはなくなりましたからメガソーラー関係は終わりなので。何やってるんでしょうね?」と返信があったと報じられたのです。これは、メガソーラー問題が既に片付いているにもかかわらず、市長がそれを続投理由に持ち出したことへの疑問を呈するものでした。

メガソーラー計画を巡る市長の主張と職員の見解

報道を受け、田久保市長は8日に自身のFacebookで反論しました。市長は「私が市長である限り、メガソーラー計画に王手をかける八幡野川への河川占用許可を出さないことは、これは当たり前のこと」とし、「メガソーラー推進派が市長になれば不許可が取り消されて許可が出ることもあり得る」と述べ、計画を止めることの重要性を改めて主張しました。

しかし、伊東市の高田郁雄建設部長は同日、メガソーラー計画について記者からの質問に対し、「それは水面下で動いているということではなく、もう周知の事実で、何か市としても隠しているわけでなく、裁判が行われていることなので、(田久保市長に対して)『それは違うんじゃないですか』というような話はした」と説明しました。さらに高田部長は、「市長と職員との間に計り知れない溝があるなという風には考えている」と述べ、市長と市職員間の認識のずれやコミュニケーションの課題を示唆しました。

市民への影響と今後の課題

今回の田久保市長の一連の発言と訂正は、伊東市政における行政の透明性、そして市長と市職員間の連携という重要な課題を浮き彫りにしました。特にメガソーラー計画のような市民の生活に直結する問題において、情報公開のあり方や、行政内部での意思疎通は極めて重要です。市民が市政に対して抱く不安や疑念を払拭し、信頼を醸成するためには、今回市長が約束したように、より一層の情報公開と透明性の確保が不可欠となるでしょう。


参考文献

  • J-CASTニュース. (2025年8月10日). 田久保伊東市長、辞職撤回後の「水面下」発言を訂正 「周知の事実」と建設部長.
  • 伊東市公式ウェブサイト. (日付は記事公開日による). 市長からの発言訂正に関するお知らせ.
  • 伊豆新聞. (日付は記事公開日による). メガソーラー計画巡る市長発言の経緯.
  • 静岡第一テレビ. (日付は記事公開日による). 伊東市長の動向に関する報道.