米ロ首脳会談を終えたトランプ大統領が、ウクライナ紛争の解決に向けて停戦合意ではなく「和平合意」を目指す考えを表明し、この方針転換が米主要メディアから強い批判を受けています。国際情勢が緊迫する中、トランプ氏の外交姿勢と、戦後のウクライナに対する米国の関与の可能性が注目されています。
米ロ首脳会談後の会見で発言するトランプ前大統領。ウクライナ紛争の解決に向け「和平合意」を目指す考えを表明した。
トランプ氏の「和平合意」言及と米メディアの反応
首脳会談後のSNS投稿で方針転換を表明
トランプ氏は15日の米ロ首脳会談後、ウクライナのゼレンスキー大統領やヨーロッパの首脳らと電話会談を実施しました。その後のSNS投稿で、トランプ氏は「戦争を終わらせる最善の方法は停戦合意ではなく、和平合意を目指すことだと全員が判断した」と述べ、ウクライナを巡る自身の見解に大きな変更があったことを示唆しました。
これまでゼレンスキー氏は即時停戦を訴えており、トランプ氏自身も首脳会談前はロシアに対し停戦を求めていました。一方、ロシアのプーチン大統領は、一貫して「和平合意」の必要性を主張しています。
米主要メディアからの強い批判
このトランプ氏の発言に対し、ワシントン・ポストは「時間稼ぎの戦術を取るロシアに同調する劇的な方針転換だ」と厳しく批判しました。また、ニューヨーク・タイムズは「停戦もなく制裁もない。トランプ氏はプーチン氏に屈服した」と報じるなど、米国の主要メディアはトランプ氏の姿勢を「ロシアへの同調」とみなし、その外交政策に対する懸念を表明しています。ゼレンスキー氏は18日にワシントンでトランプ氏と会談する予定であり、この問題が主要な議題となる見込みです。
ウクライナの戦後復興と安全保障について語るトランプ氏。将来的な「安全の保証」提供の可能性が報じられている。
戦後ウクライナへの「安全の保証」とロシアの提案
トランプ氏による「安全の保証」の可能性
アメリカメディアの報道によると、トランプ大統領はロシアとの戦闘が終了した後のウクライナに対し、「安全の保証」を提供することに前向きな姿勢を示しているといいます。ウォール・ストリート・ジャーナルが16日に報じたところでは、トランプ氏はヨーロッパ各国の首脳に対し、戦後のウクライナに安全の保証を提供する用意があると伝えたとされます。この保証の内容としては、ヨーロッパ主導の平和維持部隊に対し、アメリカ軍が支援をする可能性を示唆したものの、アメリカ軍のウクライナ駐留については言及しなかったと報じられています。
プーチン氏のドンバス割譲提案
一方、ニューヨーク・タイムズの報道によれば、米ロ首脳会談においてプーチン大統領は、ウクライナが東部ドンバス地方をロシアに割譲する見返りに、今後ウクライナを攻撃しないと書面で約束する提案をしたとされています。これは、紛争解決に向けたロシア側の具体的な要求を示すものとして注目されます。
今回のトランプ氏による「和平合意」への方針転換、それに続く米メディアからの批判、そして戦後のウクライナを巡る各国の思惑は、複雑に絡み合う国際情勢の一端を示しています。今後のゼレンスキー氏とトランプ氏の会談、およびロシアの動向が、ウクライナ紛争の行方を左右する重要な鍵となるでしょう。
参照元:
- テレビ朝日報道局
- Yahoo!ニュース
- ワシントン・ポスト
- ニューヨーク・タイムズ
- ウォール・ストリート・ジャーナル