5月8日午前、大津市の交差点で車2台が衝突、弾みで軽乗用車が歩道に突っ込み、散歩中の保育園児ら16人が死傷した。
宿直勤務のため午後に出社した私は、先に取材している先輩の応援に向かった。現場に到着したのは夕刻。V字に曲がったフェンスが事故の大きさを物語る。青空が広がる暖かな春の日に突然、未来を奪われたのは、罪のない2人の園児だった。胸が締め付けられた。
花を手に園児を悼み、祈る人たちが次々に訪れていた。静寂のなか、響くカメラの音。あまりに無神経に思え、シャッターボタンを押す指が重くなった。
追悼に訪れる人は仕事帰りの会社員、学生、近所の人たちと、さまざま。なかでも幼い子供を連れた親子の姿が目立った。フェンスを前にわが子を抱きしめて涙を流す人もいた。
「もうこんな事故はなくさなければならない」。悲しみとともに、そんな願いも強く感じた。
6月、交通安全のため、子供たちが描いた絵をトラックの荷台にラッピング印刷して交通安全を啓発する「こどもミュージアムプロジェクト」を取材した。大津の事故をきっかけにプロジェクトに参加した運送業者もいた。「交通事故は、被害者も加害者も、誰もが不幸になる」という運転手の言葉が心に残っている。
あの事故から7カ月。交通事故のニュースを聞かない日はない。少しでも事故を減らせるよう、私もできることを考えていきたい。
(写真報道局 渡辺恭晃)