雅子さま長崎ご訪問、2泊3日の“画期的な”日程への懸念 – 皇后陛下のご体調と地方の期待

戦後80年という節目の年にあたり、天皇皇后両陛下は「慰霊の旅」を精力的に続けられています。来る9月には長崎への行幸啓が予定されており、そのご日程は2泊3日とされています。いまだご療養の途上にあり、ご体調の回復を目指しておられる雅子皇后陛下にとって、地方ご訪問で2泊なさるのは実に6年ぶりとなる画期的な出来事です。しかし、この長期滞在の裏には、皇后陛下のご体調に対する関係者の不安がつきまとっています。

長崎ご訪問を控える雅子皇后陛下長崎ご訪問を控える雅子皇后陛下

長崎での「四大行幸啓」と6年ぶりの2泊3日

両陛下と愛子さまは先頃、須崎御用邸でのご静養のため特別列車で伊豆急下田駅にご到着されました。この日は陛下が臨時国会の開会式にご臨席されたこともあり、ご到着は20時過ぎとなりましたが、須崎でのご静養は6年ぶり。両陛下と愛子さまは、出迎えた市民と約30分にわたりご歓談され、先月末に発表された津波警報について案じるお声がけもなさっていました。

両陛下は今年4月に日帰りで硫黄島へ行幸啓され、6月には沖縄、広島を相次いでご訪問されるなど、多忙な日々を送られています。そして、9月中旬には長崎へのご訪問が予定されています。この長崎ご訪問では、平和公園でのご供花や被爆者養護施設ご訪問に加え、皇室の主要な地方ご訪問である「四大行幸啓」の一つ、「国民文化祭」の開会式にご出席されるため、2泊3日の日程が組まれています。

宮内庁担当記者によると、雅子皇后陛下が地方ご訪問で2泊なさるのは、2019年11月以来、実に6年ぶりとなります。当時は御代替わりの一連の行事として、伊勢神宮や神武天皇陵へのご参拝のため、両陛下は三重、奈良・京都にそれぞれ2泊3日のスケジュールで行幸啓されました。四大行幸啓とは、「国民文化祭」の他に「全国植樹祭」、「国民スポーツ大会」、「全国豊かな海づくり大会」を指し、コロナ禍の影響もあり、令和に入ってからはオンラインでのご参加や1泊の行幸啓が続いていました。ちなみに、6年前のご参拝以前に雅子皇后陛下が2泊なさったのは、2007年10月の徳島での国民文化祭まで遡るという事実からも、今回の長崎ご訪問はまさに“画期的”と言えるでしょう。

ご体調への懸念と「心もとない」現状

しかし、ある宮内庁関係者は、今回の長崎ご日程について「皇后陛下のご体調に最大限配慮し、緩やかなスケジュールとなっている。いわば試験的な段階でもあり、無事にお務めになれば大きな自信につながることでしょう」と期待を寄せる一方で、不安も隠せません。「いかんせん、ご体調の波は現在も激しく、翌日のコンディションも読めないといった状態。今後のお出ましで2泊3日のスタイルが定着するかと言われれば、心もとない限りです」と述べています。

続けて関係者は、「1泊ではどうしても“駆け足”の日程になってしまい、ご訪問先の都道府県は、少しでも長く滞在され、多くの場所をご覧になっていただきたいと願っている。長崎で2泊のご訪問が実現すれば、各地もこれに倣いたいと思うでしょう。そこは皇后陛下のご負担にならないよう、適切に調整するのが私たちの役目なのですが……」と、皇后陛下へのさらなる精神的・肉体的負担増大を懸念しています。

当の雅子皇后陛下にとって「連泊のプレッシャー」が生じてしまうのであれば本末転倒です。実際、今年5月には、ご体調不良を理由に埼玉での全国植樹祭を直前にキャンセルなさったこともありました。精神科医の片田珠美氏は、このような状況に対し、「一つのつまずきによって自己肯定感が低下し、ご体調に影響を与える可能性はあります。今度の2泊3日のご訪問がうまくいけば大きな成功体験になりますが、そもそも御所でお過ごしになるのと、地方でホテルに滞在なさるのとでは、お感じになるストレスが全く異なります。すべてのご訪問先の要望に応えようとなさらず、時にはお断りになることも必要なのではないでしょうか」と指摘しています。

結論

雅子皇后陛下の長崎への2泊3日の行幸啓は、これまでのご公務のスタイルに新たな展開をもたらす画期的な試みです。しかし、いまだご療養中である皇后陛下のご体調は依然として不安定であり、この長期滞在がもたらすであろう精神的・肉体的な負担は無視できません。宮内庁関係者や専門家の間では、この「試験的な」ご日程が無事に成功することを願いつつも、今後のご公務における皇后陛下のご負担軽減と、そのお気持ちへの配慮が不可欠であるとの見方が強いです。皇室の活動と皇后陛下の健康維持のバランスをいかに取るか、その試行錯誤はこれからも続くことでしょう。

参考文献

  • 「週刊新潮」2025年8月14・21日号
  • 新潮社