兵庫県神戸市で発生したマンション住人女性殺害事件において、逮捕された会社員の谷本将志容疑者(35)が、事件直前10分以上にわたり被害者の後をつけていたとみられることが新たに判明しました。谷本容疑者は殺意を否認しており、警察は被害者との接点や詳しい動機の解明を急いでいます。
逮捕された谷本容疑者と事件の経緯
東京都に住む会社員の谷本将志容疑者(35)は、8月20日に神戸市中央区のマンションのエレベーター内で、住人の片山恵さん(24)をナイフで複数回刺し、殺害した疑いが持たれています。事件後、谷本容疑者は身柄を東京都奥多摩町で捜査員に確保され、22日夜には神戸に移送されました。確保の際には、目撃者によると「男の人が叫んでいて、刑事の人が押さえていた。暴れている感じがした」とされており、逮捕時の状況が緊迫していたことを示唆しています。
防犯カメラが捉えた「10分以上後つけ」の動向
捜査関係者への取材により、事件の重大な新事実が明らかになりました。防犯カメラの映像には、片山さんが事件の直前10分以上にわたり、谷本容疑者とみられる男に後をつけられる様子が映っていたといいます。この映像は、事件が突発的なものではなく、計画的あるいは執着的な行動の一環であった可能性を示唆しており、今後の捜査の焦点となるでしょう。
神戸市中央区で発生したマンション殺害事件の現場周辺を捉えた画像
勤務先の評価と食い違う「殺意否認」の供述
谷本容疑者の勤務先の代表取締役は、「裏切られたという気持ち。こんな不祥事を起こすとは思ってもみなかった」と述べ、容疑者が非常に真面目で、客からの評判も良かったと証言しています。しかし、谷本容疑者は事件の3日前から休暇を取り地元の関西に戻っていたとみられ、22日には出勤予定だったものの姿を見せず、会社からの連絡にも応じませんでした。警察の調べに対し、谷本容疑者は「殺意はなかった」と供述しており、勤務先の評価や計画的な行動が疑われる状況と食い違う点が、捜査を複雑にしています。
未だ解明されない接点と動機:遺族の悲痛な思い
これまでのところ、被害者の片山さんと谷本容疑者の間に明確な接点は見つかっていません。警察は、この接点の有無、そして谷本容疑者の犯行動機について、慎重な捜査を進めています。片山さんのご遺族は23日、「悲しみに暮れ、混乱した状態が続いていますが、せめて安らかに送り出したいとの思いでおります」とコメントを発表し、深い悲しみの中で真相解明を願う気持ちを表明しました。事件の全容解明には、動機や接点の特定が不可欠であり、今後の捜査の進展が待たれます。
警察は、防犯カメラ映像の分析や関係者への聞き込みを通じて、事件の背景と真相の究明に全力を挙げている状況です。