富士山噴火CG映像を内閣府が公開:首都圏広域への影響と防災対策の呼びかけ

「火山防災の日」を前に、内閣府は富士山噴火による壊滅的な被害を想定した初のCG映像を公開しました。これは、大規模噴火が発生した場合に予測される甚大な影響を具体的に示し、国民の防災意識を高めることを目的としています。富士山周辺地域だけでなく、遠く離れた首都圏にまで及ぶ広範囲な影響が詳細に描かれており、事前の備えの重要性が浮き彫りになっています。

富士山噴火の甚大な被害想定

内閣府が公開したCG映像は、富士山の大規模噴火がもたらすであろう様々な災害シナリオを視覚的に提示しています。

噴石、溶岩流、火砕流の脅威

噴火発生時には、無数の巨大な噴石が広範囲に飛散するほか、溶岩流や時速100キロメートルを超える高速の火砕流が発生し、周辺地域に壊滅的な被害をもたらすことが想定されています。これらの現象は、人命を直接脅かすだけでなく、建造物やインフラを一瞬で破壊する力を持っています。

首都圏への火山灰の影響

風向きによっては、富士山から約100キロメートル離れた東京都新宿区でも、微細な火山灰が降り積もると予測されています。噴火からわずか2日で5センチメートル以上に達する可能性があり、この火山灰が雨水を含むと、その重みで木造家屋が倒壊する恐れがあります。さらに、道路は火山灰で覆われ、車両の通行が不可能になることで、交通網が完全に麻痺する事態も懸念されています。

富士山噴火で屋根に堆積した火山灰が雨水を含み家屋を倒壊させるCG映像の様子富士山噴火で屋根に堆積した火山灰が雨水を含み家屋を倒壊させるCG映像の様子

インフラ麻痺と広範囲な影響

火山灰の影響はこれだけに留まりません。首都圏では断水や大規模な停電が発生し、鉄道の運行も停止する恐れがあります。噴火から15日目には、降灰による影響が首都圏全域に及び、社会機能が著しく低下する可能性が指摘されています。

内閣府が示す「広域降灰対策ガイドライン」と備え

このような大規模災害に備え、内閣府は3月に「首都圏における広域降灰対策ガイドライン」を公表しました。

4段階の行動指針

このガイドラインでは、降灰の量に応じた4段階の行動指針が示されており、自治体や事業者と連携し、具体的な対策を検討していく方針です。これにより、各主体が連携して迅速かつ効果的な対応を取ることが期待されます。

食料品などの備蓄の呼びかけ

「火山防災の日」は、明治44年に浅間山に日本初の火山観測所が設置されたことを記念して制定されました。内閣府は、今回のCG映像の公開に合わせて、「噴火による物流の停滞に備え、普段から食料品などを備蓄してほしい」と国民に強く呼びかけています。災害時には物資の供給が滞る可能性が高いため、各家庭での事前の備えが極めて重要となります。

結論

内閣府が公開した富士山噴火のCG映像は、その脅威と広範囲な影響を改めて認識させる重要な機会となります。大規模な噴火は、噴石、溶岩流、火砕流といった直接的な被害だけでなく、火山灰による首都圏のインフラ麻痺や社会機能の停止といった複合的な災害を引き起こす可能性があります。国民一人ひとりがこの現実を理解し、ガイドラインに基づいた適切な行動と食料品などの備蓄を日頃から行うことが、来るべき災害から身を守るための最善の策です。

出典: