子どもに与えるアイスの安全性:知っておきたい4つの分類と成分の真実

夏休みが終わりを迎えてもなお、日本列島を覆う猛暑の中、冷たいアイスクリームは子どもたちにとって身近なおやつであり続けています。しかし、その手軽さゆえに、保護者の間では「子どもが毎日食べるアイスの安全性は大丈夫なのか?」という深い懸念が広がっています。本稿では、ベストセラー『食品の裏側』の著者である安部司氏が提唱する、子どもの食の安全性に関する視点から、アイスクリームの基本的な知識と厚生労働省による分類について詳しく解説します。

安部司氏は、料理研究家のタカコナカムラ氏と共に、無添加で安心、そして美味しい「健康おやつ」112品を開発し、『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』を上梓しました。これは、市販のお菓子に含まれる砂糖、油、添加物への不安を抱える保護者にとって、まさに救世主となる一冊です。今回、安部氏が特に警鐘を鳴らす「子どもに食べさせたくない2大NGアイス」への理解を深めるため、まずはその基盤となるアイスの種類と成分について掘り下げていきます。

なぜ子どもの食の安全が重要なのか

子どもの成長期において、何を食べるかはその子の心身の形成、ひいては人生を左右しかねない重要な問題です。特に、身体が作られ、脳が発達するこの時期に摂取する食品の質は、将来の健康状態に直結します。現代社会には、手軽で美味しい加工食品が溢れていますが、その裏に隠された添加物や過剰な糖分、脂質が子どもの健康に及ぼす影響は決して無視できません。保護者の方々が「子どもの食の安全性」に関心を寄せるのは、まさにこのためであり、その責任感から生まれる当然の問いかけなのです。

アイスクリームの法的な分類:4つの種類

日本の食品衛生法に基づき、厚生労働省はアイスクリームを4つのカテゴリーに分類しています。これらの分類を理解することは、商品の選択において非常に重要です。

アイスクリーム

乳固形分が15%以上、うち乳脂肪分が8%以上含まれているものが「アイスクリーム」と定義されます。乳本来のコクと風味を最も強く感じられる種類であり、高品質な乳製品を豊富に使用していることが特徴です。

アイスミルク

乳固形分が10%以上、うち乳脂肪分が3%以上含まれているものが「アイスミルク」です。アイスクリームに比べて乳成分は少ないものの、牛乳の風味は十分に感じられます。比較的さっぱりとした味わいが特徴です。

ラクトアイス

乳固形分が3%以上含まれているものが「ラクトアイス」です。乳脂肪分の規定はなく、植物性脂肪などが多く使用される傾向があります。乳成分が少ないため、あっさりとした口当たりで、価格も手頃な商品が多いです。

氷菓

上記のアイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスのいずれにも該当しないものが「氷菓」に分類されます。これには、かき氷やシャーベット、アイスキャンディーなどが含まれます。乳成分はほとんど含まれておらず、果汁や糖分、香料が主成分であることが多いです。

様々なアイスクリームが並ぶ様子。子どもの食の安全性とアイスの分類について解説します。様々なアイスクリームが並ぶ様子。子どもの食の安全性とアイスの分類について解説します。

「乳固形分」と「乳脂肪分」の基本理解

上記のアイスクリーム分類を理解する上で、「乳固形分」と「乳脂肪分」という二つの用語は不可欠です。

「乳固形分」とは、牛乳から水分を除いた固形成分の総称を指します。これには、たんぱく質、炭水化物(乳糖)、ミネラル、そして脂肪分など、乳製品に含まれる栄養素全体が含まれます。「乳固形分」は、さらに「無脂乳固形分」(いわゆる脱脂粉乳)と「乳脂肪分」(バターの主成分)に分けられます。

「乳脂肪分」は、乳製品に特有の豊かな風味と滑らかな口当たりを与える脂質成分です。この乳脂肪分の含有量が、アイスクリームのコクや風味を大きく左右します。一般的に、乳固形分や乳脂肪分が多く含まれるほど、乳製品本来の風味が強く、濃厚な味わいとなります。

まとめ

本稿では、安部司氏の提言を基に、子どもたちに提供するアイスクリームの安全性に焦点を当て、日本の食品衛生法に基づくアイスクリームの4つの分類(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓)と、その成分表示の基礎となる「乳固形分」および「乳脂肪分」について解説しました。

安部氏が指摘する「子どもに食べさせたくない2大NGアイス」が具体的にどの分類に該当するのかは、それぞれの製品の成分表を詳細に確認し、上記の知識と照らし合わせることで、保護者自身が判断する手助けとなるでしょう。この情報を活用し、子どもたちの健康を守るための賢明な選択をしていただければ幸いです。

参考文献

  • 安部司、タカコナカムラ (2023). 『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』.
  • 安部司 (2007). 『食品の裏側――みんな大好きな食品添加物』.
  • 厚生労働省 食品衛生法関連情報.