【写真で振り返る2019】(4)G20大阪サミット 世界の主役とらえた



わずかな傘の隙間から姿をとらえた近平中国国家主席=6月27日午後1時24分、関西国際空港(須谷友郁撮影)

 6月27日午後、土砂降りの雨の中、大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)のため、習近平中国国家主席が関西国際空港に到着した。

 多くの報道陣がぎゅうぎゅうになって取材場所に並ぶ中に私もいた。脚立の上でカメラを構えて待つ。タラップが機体に横付けされると、カメラマンたちの緊張感が高まった。

 その時だった。「このままじゃ見えない」。全員が慌てだす。唯一姿が見えるはずだった、タラップから車までのわずかな距離を、出迎えの人々が傘で覆い尽くしてしまったのだ。

 「どうしよう」。窮屈なスペースでは移動できるわけもなく、一瞬でも見えることを祈るばかりだった。

 傘が動き出す。空気がぴりっと張り詰めた。どこだ-。大粒の雨や傘、人に遮られながら必死に探した。もう見えないかもしれない。諦めかけたとき、わずかな傘の隙間から姿をとらえた。「見えた」。手に汗握りながら撮った写真には、笑顔で歓迎を受ける習主席の姿が写っていた。

 「もうこんな機会はないかもしれないから見てこい」。上司に言われ、G20サミット会場のインテックス大阪(大阪市住之江区)を訪れたのは最終日の6月29日。雰囲気に触れることもできた。

 首脳会議でシャッターを切ったわけではないけれど、日本に世界の注目が集まったあの期間に、主役の一人である習主席やインドのモディ首相を空港で直接撮影できたことは、駆け出しカメラマンの私にとって貴重な経験になった。

(写真報道局 須谷友郁)



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