誤解を避けるため、最初に明確にしておきたい。23〜24日に日本を経由し、25日にドナルド・トランプ米国大統領と初の首脳会談に臨んだ李在明(イ・ジェミョン)政権の外交計画は「神の一手」であったと評価する。この訪問を通じて、李大統領は米国の保守派が抱いていた「反日・反米主義者」という先入観を払拭し、韓国新政権に不安を感じていた日本人を安心させることにも成功した。しかし、それにもかかわらず、あえてこの文章を書く。17年ぶりに行われた韓日首脳会談後の「共同メディア発表文」は、多少皮肉を込めて言えば「まろやかな味の尹錫悦(ユン・ソクヨル)」のような内容だったと言われてもおかしくない。
尹錫悦政権の対日戦略と安保協力の制度化
前任の尹錫悦大統領の対日政策は、「歴史問題を忘れ、北朝鮮と中国を牽制するために積極的に安保協力を推進する」というものであった。この「生々しい」戦略的決断の下、2023年3月6日には強制動員賠償判決に対する一方的な譲歩案である「第三者弁済案」が打ち出された。その年の8月にはキャンプ・デービッド首脳会議で、韓米日三角「軍事協力」の第一歩が踏み出された。翌2024年には、この三角軍事協力の「制度化」が始まり、その結果として6月末には3カ国による初の年次共同訓練「フリーダム・エッジ」が実施された。さらに、3カ国の国防相は7月28日に「3カ国安全保障協力枠組み覚書」に署名し、当時のシン・ウォンシク国防長官は、3カ国の安保協力を「不可逆的に後退できないようにする」ことが目的だと公言したのである。
「基盤」表現が示す歴史認識の相違
今回、日韓両首脳が23日に発表した文書は、「歴史問題は棚上げし、北朝鮮に圧力をかけよう」という内容で構成されている。両首脳はこの発表文で、「1965年の国交正常化以来これまで築かれてきた日韓関係の基盤に基づき」、両国関係を発展させていくと宣言した。日本がこの表現を初めて用いたのは、韓国人原告が受けた強制動員という違法かつ非人道的な被害に対し、日本の被告企業に賠償を命じた最高裁判決が下された当日だった。日本は2018年10月30日付の「外務大臣談話」で、この判決を「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すもの」だと非難したのである。日本は、1965年の請求権協定によって両国間の「すべての」請求権問題は「完全かつ最終的」に解決済みとの立場を堅持する。しかし、韓国は、最高裁が判断した通り、慰安婦や強制動員のような「違法で非人道的な行為」による被害に対する請求権は残っていると主張してきた。この「基盤」を強調する表現は、その後、日本が韓国の最高裁判決を攻撃する際に用いる「慣用語」として定着していったのだ。
日韓首脳会談で握手を交わす李在明大統領と岸田文雄首相
この言葉が劇的に再び登場したのは、2022年3月11日の(当選者時代の)尹錫悦氏と岸田文雄前首相の初の電話会談においてだった。岸田首相は「1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき」両国関係を発展させていく必要があるから、尹大統領の「リーダーシップに期待する」と述べた。続いて同年9月21日の両首脳の対面を伝える日本の外務省の文書には、きわめて「妙な」表現が登場する。すなわち、両首脳がこの「基盤に基づき」両国関係を発展させていくことで「意見が一致」したというのだ(韓国側の発表文にはこのような表現は見当たらない)。この表現が単なる嘘ではなかったのか、尹大統領は翌年3月、最高裁判決の趣旨に反する第三者弁済案を打ち出すに至る。今回、李大統領までこの表現を受け入れたのだから、最高裁判決の違法性と不当性を執拗に攻撃してきた日本の主張に言い包められた格好になってしまったと言わざるを得ない。
北朝鮮政策における日韓の戦略的ずれ
そして、安全保障である。両首脳は「北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応して韓米日協力を土台に安保理(国連安全保障理事会)の対北朝鮮制裁決議が忠実に履行」されるようにすると述べている。日本がこの表現を、日韓が共同でトランプ大統領の安易な北朝鮮への接近を防ぎ、経済制裁の緩和という「代価」を支払うことにならないようにするという意味に解釈することは明らかだろう。これは、李大統領が提示した北朝鮮の核問題の「3段階解決策」や、朝鮮半島和平プロセスの再稼動に向けて米国の積極的な役割を強調する「ピースメーカー・ペースメーカー」論とは両立が難しいとみられる。
日本との関係改善は喜ばしいことであり、両国の虚心坦懐なコミュニケーションも絶対に必要である。しかし、韓国の進歩的な視点と日本の歴史観や戦略観は明らかに異なっており、そのためには緻密な力の調節とバランスが切実に求められる。日本のペースに巻き込まれた瞬間、知らず知らずのうちに「まろやかな味の尹錫悦」へと変質する恐れがあるのだ。「より良い成果をあげる」という李大統領の発言に、今後の展開を期待したい。
キル・ユンヒョン|論説委員