住民の約3割が国外生まれという「移民大国」のオーストラリアで31日、大規模な反移民デモが行われた。シドニーやメルボルンといった主要都市で多くの人が参加した。豪政府側は「移民への憎悪を広めるものだ」と批判している。
ロイター通信によると、デモは「オーストラリアのための行進」と名付けられ、参加者の多くが豪州の国旗を身にまとった。シドニーで参加した一人は、移民流入の制限を望み「子どもたちは住宅購入に苦労し、病院では長時間待たされる」と不満を述べたという。
デモを主催した団体は交流サイト(SNS)上で「大量移民」に抗議し、移民がコミュニティーの絆を引き裂いたと主張。さらに移民に対するデマや中傷も投稿し、デモの参加を広く呼びかけていた。
豪州では住宅不足や物価高が深刻化する中、反移民感情が高まりつつある。豪政府は、デモを巡る一連の動きについて「社会的調和を高めるものではない」と非難。デモが極右勢力に組織されていると主張したが、団体側は極右勢力との関係についてコメントしなかったという。【飯田憲】