韓国輸送機ADIZ進入問題、「コミュニケーションミス」が原因と韓国国防部が結論、7人に懲戒勧告

今年7月、韓国空軍の輸送機が日本の防空識別圏(ADIZ)に事前通告なく進入し、日本側が緊急発進(スクランブル)で対応した件について、韓国国防部は31日までに、両国間の「コミュニケーションミス」が原因であるとの結論を出した。この事態を受け、国防部は空軍の情報作戦部長を含む計7人に対し、懲戒などの処分を勧告している。

日本の防空識別圏に無通告で進入した韓国空軍の輸送機日本の防空識別圏に無通告で進入した韓国空軍の輸送機

「予防着陸」を巡る認識のずれ:事態の経緯

問題の発端は、輸送機が訓練地のグアムへ向かう途中、日本領空を通過する予定であったにもかかわらず、事前に日本の承認を得ていなかったことにあると国防部は判断した。日本領空通過が叶わず迂回飛行を余儀なくされた結果、燃料不足に陥り、沖縄県にある米軍嘉手納飛行場への緊急着陸が必要となった。

この際、韓国側は日本に対し「(事故回避のための)予防着陸」を通告したが、日本側がこの言葉を理解できなかった。結果的に、日本の承認がないまま韓国輸送機が防空識別圏に進入し、日本側の戦闘機が緊急発進する事態へと発展した。その後、日本側の指示により、韓国輸送機は国際的な遭難信号である「メーデー」を発信し、緊急着陸の許可を得た。韓国空軍は当時、「メーデー」を発信する状況ではなく、あくまで「予防着陸」が必要であったと説明し、「予防着陸」は国際的に空軍で使用される用語であると強調している。

韓国国防部の調査結果と措置

今回の監査結果は、日韓間の防衛当局間の意思疎通における課題を浮き彫りにした形だ。国防部は、情報共有とコミュニケーションのプロトコルに不備があったと認め、再発防止策を講じる必要性を認識している。勧告された7人の懲戒処分は、こうした課題に対する責任の所在を明確にし、今後の連携強化を促すための措置とみられる。今回の事態は、国際空域における各国の防空識別圏運用と、それに伴う国際的な手続きの重要性を改めて示す事例となった。

参照元

YONHAPNEWS: https://news.yahoo.co.jp/articles/0518c5a10829ec58d671497545ccb31ee3fb6d42