広島、4病院統合で高度医療拠点へ:全国初の試み

広島県は、県立広島病院、県立二葉の里病院(旧・JR広島病院)、中電病院、広島がん高精度放射線治療センターの4つの医療機関を統合し、JR広島駅前に1000床規模の新病院設立計画を進める。2030年度中の開院を目指す本プロジェクトは、高度医療提供体制の整備を通じ、県民の健康と医療の質向上を図るものだ。医療機関の統廃合が全国的に進む中、これほど大規模な統合再編は全国初の試みとして注目され、日本の地域医療における新たなモデルケースとなる可能性を秘めている。

医療資源最適化と若手医師確保の課題

湯﨑英彦広島県知事は、県内医療資源の分散と現場スタッフの疲弊を課題に挙げた。広島都市圏では周産期医療が充実する一方、高度な小児医療が不十分であり、医療資源集約による相互補完と役割分担体制の構築が急務と認識されている。これにより、医療スタッフの負担軽減と県民の高度医療アクセス向上を実現する。
湯﨑英彦広島県知事が新病院設立計画について説明する様子湯﨑英彦広島県知事が新病院設立計画について説明する様子知事はまた、高度治療を求め県外へ流出する県民や、大都市圏へ移る若手医師の存在に危機感を示す。広島は北海道に次いで無医地区が全国で2番目に多く、若手医師確保は喫緊の課題だ。魅力的な高度医療施設を創出し、症例集積による医療の質向上、若手医師がやりがいを持って働ける場の提供、地域医療の持続性確保に繋げる狙いがある。

行政主導と多職種連携による統合推進

この大規模な医療統合プロジェクトには、広島県の強力なイニシアチブと関係者間の密接な協力が不可欠である。県は広島大学と連携協定を締結し、医師、看護師、歯科医師、薬剤師など多職種が参加する地域保健対策協議会(地対協)と議論を重ねてきた。地対協を中心とした良好な協力関係は、文化や方針が異なる複数組織の融合という現場レベルでの調整が多岐にわたる統合において、プロジェクトの大きな強みとなる。湯﨑知事は、病院設置者(経営責任主体)が基本理念に賛同してくれるかが鍵であり、医療集約の重要性、若手医師を惹きつける高度医療施設の必要性を伝えることが成功の要だと強調する。

都市型病院統合の新たなモデルケースへ

全国的に医療機関の統合は経営難によるケースが多い中、広島県のプロジェクトは将来課題を予測し、先手を打って対策を講じる点で特異だ。知事も「成功すれば都市型病院統合の一つのモデルケースになるだろう」と述べ、その先進性を高く評価している。
この広島の挑戦は、医療資源の最適化、地域医療の質向上、若手医療従事者の確保といった、日本全国の自治体が直面する共通課題への有効な解決策を示唆する可能性がある。本計画は、日本の医療政策全体に大きな影響を与えうる、全国的に注目される試みとなるだろう。

まとめ

広島県が進める4病院統合による新病院計画は、医療資源集約と高度医療提供体制強化を目指す全国初の試みだ。医療スタッフの負担軽減、若手医師確保、県民アクセス向上を目的とし、広島大学や地域保健対策協議会との連携のもと、2030年度中の開院に向けて進行中。この先進的な取り組みが成功すれば、将来を見据えた都市型病院統合のモデルケースとして、日本の地域医療全体に大きな影響をもたらすことが期待される。


出典: WEDGE Online(ウェッジ・オンライン) via Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/d36fe4ba26f721316d73f05eca03a98134ef6530)