匿名の手紙が暴く夫の「モラハラ不倫」:シングルマザーを追い詰めた闇

吉本興業で「オオカミ少年」として活動する傍ら、探偵事務所の代表を務める筆者には、長年の探偵経験の中で数々の夫婦間の裏切りに関する相談が寄せられてきた。しかし時として、単なる「不貞」に留まらない、人間の暗い深淵を覗き見るような狂気的な案件に遭遇することもある。今回は、立場を悪用し、あるシングルマザーを精神的に追い詰めた恐るべき不貞調査の事例を紹介する。

探偵が見た「人間の闇」:単なる不倫では終わらない事例

探偵業を通じて、筆者は夫婦間の複雑な問題に数多く直面してきた。中には、愛情のもつれという単純な構図では語り尽くせない、権力関係や精神的な支配が絡み合うケースも存在する。今回の依頼は、夫の隠された顔が、差出人不明の匿名の手紙によって白日の下に晒されるという、まさにその典型であった。表面上は平和に見える家庭の裏側で、いかに恐ろしい出来事が進行していたのか、その詳細を追う。

家庭を支える専業主婦に届いた「差出人不明」の手紙

依頼者の川野沙百合さん(36歳)は、結婚12年目の専業主婦で、2人の幼い子どもの育児と家事に追われる日々を送っていた。夫の川野真蔵さん(41歳)は、家族のために懸命に働く会社員であり、沙百合さんは多忙な夫に常に感謝の気持ちを抱いていた。真蔵さんは子煩悩なタイプではなく、残業や休日出勤が多く家を空けることも頻繁だったが、沙百合さんは「今は夫婦で仕事と育児を頑張る時期」だと自分に言い聞かせ、家庭を守り続けてきた。稀な休日でも、子どもと遊ぶことを露骨に嫌がる夫に対し、「仕事で疲れているのだから仕方ない」と我慢することが常だった。

そんなある日、沙百合さん宛てに差出人の名前が書かれていない手紙が届いた。

差出人不明の手紙を読む女性の姿、夫の不倫に苦しむ妻の葛藤差出人不明の手紙を読む女性の姿、夫の不倫に苦しむ妻の葛藤

契約を盾に強要される関係:シングルマザーの衝撃告白

手紙の冒頭には、突然の送付を詫びる言葉と共に、差出人が真蔵さんの取引先でフリーランスのエンジニアとして働く邦村寿々さん(32歳)であること、そして幼い子どもを育てるシングルマザーであることが綴られていた。夫の仕事関係に全く関与していなかった沙百合さんは、困惑しながら手紙を読み進めた。

手紙には次のように記されていた。「申し訳ありません。ご主人と関係を持ってしまいました。しかしそれは私の意思ではなく、仕事の契約を盾に強要されているのです。もう限界です。私の電話番号を記載いたします。一度相談をさせていただきたく存じます」。この衝撃的な告白に、沙百合さんは全身が震えるほどの動揺を覚えた。しかし、文面を繰り返し読むうちに、これが単なる不倫ではなく、真蔵さんによる支配と恐怖に基づく関係であることを理解した。

すぐに電話する気にはなれなかった沙百合さんだが、名前と電話番号まで記載された赤裸々な告白を無視することはできないという思いから、3日後に記載された番号へ電話をかけた。電話に出た寿々さんは、まず関係を持ってしまったことを丁重に詫びながら、事の経緯を話し始めた。

職務上の立場を利用したハラスメントの実態

寿々さんの話によると、真蔵さんは彼女のようなフリーランスエンジニアの業務委託契約を管理する立場にあった。契約は3カ月ごとに更新面談が行われるシステムだという。半年前の更新面談では、真蔵さんは寿々さんの働きを高く評価し、給料のアップを提示した。家族の支えがないシングルマザーである寿々さんにとって、それはまさに願ってもない好条件の契約更新であった。いつも笑顔で温かく接してくれる真蔵さんには、心から感謝していたという。

しかし、3カ月前の更新面談から状況は一変する。真蔵さんは「エンジニアの待遇を良くしたいので、食事でもしながら率直な意見を聞きたい」と寿々さんを誘い出したのだった。この誘いが、後に寿々さんを深く苦しめる「モラハラ不倫」の始まりであった。

終わりに

この事例は、単なる不倫という枠を超え、職務上の立場を利用した倫理的にも許されないハラスメント行為が伴っていたことを示している。家庭を築く妻の裏で、弱い立場のシングルマザーを追い詰める夫の「裏の顔」。探偵として、このような人間の暗い側面を目の当たりにするたび、問題の根深さを痛感する。この出来事が、川野夫妻、そして邦村寿々さんの人生にどのような影響を与えるのか、今後の展開が注目される。

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