新海誠監督の初期代表作である名作アニメーション『秒速5センチメートル』の実写映画公開日が目前に迫り、大きな注目を集めています。アニメの実写化作品であるため、特にキャスティングに対する関心は高く、ヒロイン・篠原明里役に高畑充希さんが起用されたことは、発表当初から大きな話題を呼びました。現状では賛否両論が飛び交う状況ですが、公開と共にその評価が一変する可能性も秘めています。
実写版『秒速5センチメートル』のポスタービジュアル、遠野貴樹と篠原明里の儚い関係を示唆
新海誠監督の名作アニメーション『秒速5センチメートル』とは
2007年に公開されたアニメ映画『秒速5センチメートル』は、互いに惹かれ合う男女の、遠距離恋愛がもたらす切なさや、すれ違う恋愛観を短編3話構成で繊細に描いた連作アニメーションです。そのリアルな描写は、ゼロ年代の若者たちから熱烈な支持を集め、新海誠監督の原点とも評されています。
この作品を語る上で不可欠な重要人物の一人が、主人公・遠野貴樹の初恋の相手である篠原明里です。小学校で出会い、互いに特別な感情を抱き合う貴樹と明里でしたが、明里の転校を機に二人は離れ離れとなり、やがて文通も途絶えてしまいます。大人になった貴樹はいつまでも明里の面影に囚われ続けますが、明里自身は別の男性と結ばれ、新たな幸せを掴んでいました。
“幻影”としての篠原明里:原作が描く儚さとリアリズム
『秒速5センチメートル』は、まさに初恋の「幻想」と厳しい「リアリズム」を描いた作品と言えるでしょう。貴樹が明里と結ばれることも、再び巡り会うことも叶わなかったラストシーンは、一部の観客にとってはバッドエンドと映ったかもしれません。だからこそ、『君の名は。』で瀧と三葉が再会を果たすシーンは、長年のファンを深く感動させたのです。
原作における明里は、主人公の心を縛り続ける「幻影」のような存在であり、どこか儚く、手が届かないイメージをまとっています。そのため、高畑充希さんがこの明里をどのように演じるのか、多くのファンが期待と同時に戸惑いを感じているのも事実です。
高畑充希が演じる篠原明里への期待と戸惑い
それでは、「俳優・高畑充希」にはどのようなイメージがあるのでしょうか。彼女の名を世間に広く知らしめた代表作の一つに、2016年に放送されたNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が挙げられます。高畑さんが演じた主人公・小橋常子は、亡き父に代わって家族を守る、一本芯の通った逞しいヒロインでした。激動の昭和を駆け抜けるその姿は、多くの視聴者に勇気と感動を与えました。
一方で、強烈な印象を残したのが、ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)の主人公・根本加穂子です。自分で服すら決められない究極のお箱入り娘である彼女は、興奮すると今の気持ちを一気にまくしたてるという個性的な一面を持っていました。その膨大な台詞量はネットニュースでも話題になるほどで、長台詞を早口で完璧に演じきる高畑さんの演技力は、まさに圧巻の一言でした。
これまでの高畑さんの代表的な役柄は、明里が持つ儚く影のあるイメージとは一線を画す、芯の強さや独特の個性が際立つものが多かったと言えます。それだけに、どのような「篠原明里」を実写版で見せてくれるのか、その演技への期待と同時に、これまでとは異なる一面を引き出す挑戦に注目が集まっています。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/91d8f8ab8b973a3dabcbd596452ac3c5a6f502a5