習近平主席、上海協力機構で「公正なグローバルガバナンス」を提唱 – プーチン大統領が支持表明

中国の習近平国家主席は9月1日、上海協力機構(SCO)首脳会議において、SCOが「世界最大の地域機構」へと成長し、その国際的な影響力を日増しに強めていると強調しました。同時に、米欧主導の既存国際秩序に代わる「より公正なグローバルガバナンス(世界統治)」構想を提案。会議は同日、「内政干渉への反対」などを盛り込んだ共同声明「天津宣言」に署名し、閉幕しました。この提案は、新たな国際秩序構築に向けた中国の強い意志を示すものです。

習近平主席の「冷戦思考」批判と多国間主義の擁護

習主席は、グローバルサウス(新興・途上国)への高関税発動や国連・自由貿易体制の軽視といった、当時のトランプ米政権の動きを念頭に「冷戦思考や陣営間の対立、いじめ行為に反対する」と明確に表明しました。さらに、国連を中心とする国際システムを守り、世界貿易機関(WTO)を核とする多国間貿易体制を維持していく考えを改めて示しました。新しい「世界統治」構想を通じて、自国のルールを他国に押し付けることを避け、「より公正で公平な国際体制」を構築すると訴え、国際社会における多極化と公平性の重要性を強調しました。

天津で開催された上海協力機構首脳会議における習近平中国国家主席とプーチン露大統領の対話天津で開催された上海協力機構首脳会議における習近平中国国家主席とプーチン露大統領の対話

プーチン大統領の支持と新国際秩序への言及

会議に参加したロシアのプーチン大統領は、習主席のこうした提案に対し、全面的に支持する意向を表明しました。プーチン大統領は、「時代遅れとなった米欧中心の仕組みに比べ、(SCOや習主席の提案は)最大限に幅広い国々の利益を考慮し、真にバランスのとれたものになるだろう」と述べ、新たな国際秩序形成に向けた習主席の歩調に合わせる姿勢を示しました。これは、既存の国際秩序に対する両国の共通認識と、それを変革しようとする強い連携を示すものです。

SCOの拡大と合意事項

中国国営新華社通信などによると、今回の首脳会議では2035年までのSCO開発戦略が採択されました。また、第二次世界大戦の勝利と国連創設80周年を記念する声明が発表されたほか、ラオスが新たに対話パートナー国となることも決定しました。これにより、SCOの国際的な影響力はさらに拡大し、多極化する世界におけるその役割がより一層注目されることとなります。

会議の背景と主要参加者

今回の首脳会議は8月31日から中国・天津で開幕し、関係国以外も含め20人以上の首脳や国際機関トップが集結しました。習主席は複数の首脳と会談を行い、特に8月31日夜にはプーチン大統領と最近の米露首脳会談の結果などについて協議。9月1日にはプーチン大統領とインドのモディ首相と同時に面会するなど、活発な外交活動を展開しました。

結論

上海協力機構(SCO)首脳会議において、習近平国家主席が提唱した「より公正なグローバルガバナンス」構想は、既存の米欧主導型国際秩序への明確な挑戦状であり、ロシアのプーチン大統領の支持を得て、新たな国際秩序形成に向けた中国とロシアの連携強化を示唆しています。SCOの継続的な拡大と、多国間主義を重視する姿勢は、国際社会におけるパワーバランスの変化を象徴するものであり、今後の国際情勢に大きな影響を与えると考えられます。

参考文献

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