新浪剛史サントリー会長兼CEO辞任:違法サプリ疑惑と「ジャニーズ問題」からの“特大ブーメラン”

9月1日、飲料大手サントリーホールディングスの新浪剛史会長兼最高経営責任者(CEO)が、違法薬物を含むサプリメントを購入したとされる疑惑を受けて辞任しました。新浪氏は海外の知人から大麻由来の物質を含む製品を受け取った疑いが持たれており、東京の自宅が家宅捜索の対象となっていました。この突然の辞任劇は、過去に新浪氏が旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)の性加害問題に対して行った厳しい発言と重ね合わせ、「特大ブーメラン」として世間の大きな注目を集めています。

新浪剛史氏の辞任詳細:違法サプリ疑惑の背景

新浪剛史氏は、国内外で活躍する著名な経営者として知られています。今回の辞任は、彼が過去に海外の知人を通じて入手したとされるサプリメントに、日本の法律で規制されている大麻由来の物質が含まれていた疑いが浮上したためです。報道によると、この疑惑を受けて東京の自宅が捜索され、事態を重く見たサントリーホールディングスは新浪氏の辞任を発表しました。企業の最高責任者がコンプライアンス違反の疑いで辞任するという異例の事態は、企業の社会的責任(CSR)と経営倫理について改めて議論を呼んでいます。

違法サプリメント問題でサントリー会長を辞任した新浪剛史氏、ローソン会長時代の園遊会での様子違法サプリメント問題でサントリー会長を辞任した新浪剛史氏、ローソン会長時代の園遊会での様子

ジャニーズ性加害問題への過去の発言とサントリーの対応

新浪氏は2023年、故ジャニー喜多川氏による性加害問題が表面化した際、記者会見で旧ジャニーズ事務所に対し非常に厳しい見解を示していました。当時、彼は「ジャニーズのタレントを起用することは、子どもへの虐待を認めることで国際的には非難の的になる」と発言。さらに、「記者会見で謝罪があったが、現体制が児童虐待に対して真摯に反省しているのか、大変疑わしい」「社名の継続についても、被害者の心境を真剣に考えるべきである」と指摘し、旧事務所の企業体質と対応を強く批判しました。

サントリーはこの新浪氏の姿勢に沿う形で、「被害者の救済策や再発防止策が十分であるとの納得いく説明があるまでは、ジャニーズ事務所との新たな契約を結ばない」と宣言。当時契約中だったタレントの契約を終了させるなど、企業として積極的に旧事務所との取引を見合わせる方針を打ち出しました。このサントリーの動きは、テレビ局をはじめとする多くの企業が旧事務所所属タレントの起用を見直すきっかけとなり、社会全体に大きな影響を与えました。

STARTO ENTERTAINMENTファンからの「特大ブーメラン」批判

新浪氏の辞任が報じられるやいなや、旧ジャニーズ事務所(現STARTO ENTERTAINMENT)のファンからは、「特大ブーメラン」だとして猛烈な批判の声が上がっています。SNSプラットフォーム、特にX(旧Twitter)上では、新浪氏の過去の厳格な発言を引用し、今回の自身の疑惑を厳しく問い詰めるコメントが多数投稿されました。

例えば、「トップがだめなら、社員も全員ダメと言い放ったのは新浪です。特大ブーメラン過ぎて草も生えん」「サントリーは廃業、社名変更。社員は、移籍するか、退職。『社員全員本当は知ってた、加担してた』というレッテル背負って生きてくんでしょ?」といった、新浪氏が旧事務所に求めたのと同等の責任を、彼自身とサントリーホールディングスにも求める声が目立ちました。また、「ジャニーは死んでたのに、お前ら袋叩きにして楽しんでたじゃないか、自業自得な!」といった、過去の経緯に対する恨みが込められたコメントも見受けられます。

ローソン社長時代の新浪剛史氏。日焼けした肌がエネルギッシュな印象ローソン社長時代の新浪剛史氏。日焼けした肌がエネルギッシュな印象

不買運動の継続と終焉、世論の分断

新浪氏の旧事務所への発言をきっかけに始まったサントリー製品の不買運動は、今回の辞任を受けて様々な反応を生んでいます。一部のファンは「サントリー製品を買うことは違法薬物を容認することになりますよね」「ジャニーズを貶めて因果応報。まだまだ一人サントリー不買運動中」と、不買運動の継続を強く訴えています。さらに、サントリーの鳥井信宏社長が新浪氏の辞任について会見した際の不誠実な態度が指摘され、「鳥井氏の不誠実な態度に#サントリー不買運動継続することにしました」といったハッシュタグと共に、不買の継続を宣言する動きも見られました。

一方で、新浪氏の辞任をもって不買運動を終結させるという声も上がっています。「ジャニーズへの言及以来、1人で勝手にサントリー不買運動してたけど今日で終了かな。商品には罪はないですからね」「サントリーの不買運動終了。新浪退任でスッキリ。コイツのせいで不買運動してたので」といった意見が示されており、一連の騒動が新浪氏個人の問題と捉え、製品自体に罪はないとする考えも広がっています。この一連の動きは、現代社会における企業倫理、経営者の発言の重み、そしてSNSが世論形成に与える影響の大きさを浮き彫りにしています。

結論

“物言う経営者”として、これまで数々の発言で注目を集めてきた新浪剛史氏の突然の辞任は、日本社会に大きな波紋を広げました。特に、彼が旧ジャニーズ事務所に対して強く批判した「企業としての責任」や「コンプライアンス」といったテーマが、奇しくも彼自身の問題として跳ね返ってきた形となり、多くの人々が「特大ブーメラン」という言葉でこの状況を表現しています。今回の件は、経営者個人の行動が企業のブランドイメージや信頼性に甚大な影響を及ぼすこと、そして公の発言には常に責任が伴うことを改めて示す事例となりました。サントリーホールディングスにとっても、今後の経営戦略と信頼回復に向けた対応が注目されます。


参考文献