伊東市長不信任決議後の「ウルトラC」:玉川徹氏が分析する田久保市長の戦略とは

学歴詐称疑惑を巡り、静岡県伊東市の田久保真紀市長が市議会で不信任決議を全会一致で可決された問題は、今後どのような展開を見せるのか。元テレビ朝日社員の玉川徹氏が、同局系「羽鳥慎一モーニングショー」で、田久保市長が起死回生のために選択しうる「ウルトラC」について詳細に解説しました。この分析は、地方自治の仕組みと政治戦略の複雑さを浮き彫りにしています。

羽鳥慎一モーニングショーで伊東市長の状況を解説する元テレビ朝日社員の玉川徹氏(2019年7月撮影)羽鳥慎一モーニングショーで伊東市長の状況を解説する元テレビ朝日社員の玉川徹氏(2019年7月撮影)

伊東市長、不信任決議に直面:学歴詐称疑惑の背景

今年5月29日に就任したばかりの田久保真紀市長は、学歴詐称疑惑が原因で市議会の不信任決議に直面しました。地方自治法に基づき、通告から10日以内の9月11日までに、辞職、失職、もしくは市議会解散のいずれかの選択を迫られています。不信任決議可決後の取材に対し、田久保市長は「持ち帰って中身を検討したい。気持ちとしては重く受け止めている」と語りましたが、市議会側は市長の辞職を強く求めています。しかし、番組では、田久保市長が市議会を解散し、市議会議員選挙に打って出る可能性が高いとの見方があることを伝えました。

起死回生の「ウルトラC」:市議会解散の可能性

玉川徹氏は、田久保市長が置かれた状況を「どんなルートを通っても、失職するようにしか見えない」と厳しく指摘しながらも、「一応、ウルトラCがあるような感じもあって」と、市長が生き残るための戦略の存在を示唆しました。市長が辞職または失職した場合、50日以内に市長選挙が実施されます。一方で、市議会を解散した場合は、40日以内に市議会議員選挙が行われることになります。

学歴詐称疑惑で不信任決議が可決された静岡県伊東市の田久保真紀市長学歴詐称疑惑で不信任決議が可決された静岡県伊東市の田久保真紀市長

不信任案再提出への対抗策:数値で見る戦略

玉川氏は、田久保市長が市議会議員選挙に踏み切った場合でも、新たな市議会で再び不信任決議案が提出される可能性に言及しました。この場合、市長が失職に至るには、議会の3分の2以上の議員が出席し、その過半数が賛成する必要があります。ここで玉川氏は、「3分の1以上が出席しなかったら、そもそも失職に至らないんですよ」と、戦略の核心を突きました。

具体的には、「その前の市議選で、3分の1以上の市長派が当選すればいい」という計算が成り立ちます。現在の伊東市議会の定数は20名であり、この計算に基づくと、市長派が7人当選すれば良いことになります。玉川氏の分析によると、前回の市議会議員選挙で下位7名の得票数を合計すると5783票となり、これは全投票者の20.3%に相当します。つまり、市長派がこの20.3%の票を獲得できれば、不信任決議による失職を回避できる可能性があると指摘しました。

田久保市長の狙いと今後の展望

玉川氏は、「どうも(田久保市長は)、市長派を(市議選に)立てるのではないかという話もある」と推測し、この数値に基づいた戦略を田久保市長が検討している可能性を指摘しました。この「ウルトラC」は、全く不可能ではない選択肢として、田久保市長が崖っぷちの状況で狙っているのかもしれません。伊東市の政治情勢は、市長の今後の決断と市議会議員選挙の結果によって大きく左右されることとなるでしょう。


参考文献: