韓国新大統領・李在明氏の素顔:「日本は敵性国家」発言と「ウリ北朝鮮」の真意

2024年8月23日(土)から24日(日)にかけて、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が来日し、石破首相との間で首脳会談が実施されました。この会談は、昨年来、国政が混乱の渦中にあった韓国において、急転直下で大統領の座に就いた李在明氏が国際舞台に登場する重要な機会となりました。前任の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、夫人の収賄疑惑による支持率急落の後、昨年12月には非常戒厳を宣布。今年1月には内乱罪で起訴され、最終的に4月4日に弾劾訴追案が可決され罷免された経緯があります。こうした激動の中で行われた大統領選挙で当選したのが、野党「共に民主党」の李在明氏です。弁護士から大統領へと上り詰めた苦労人としての側面が強調される一方で、過去には「日本は敵性国家」といった過激な発言で「韓国のトランプ」と揶揄されることもあった李大統領は、一体どのような人物なのでしょうか。韓国出身の作家シンシアリー氏の新著『韓国リベラルの暴走』(扶桑社刊)からの抜粋を通して、今後の日韓関係の行方を占います。

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激動の韓国政界:尹錫悦前大統領の弾劾と李在明新大統領の誕生

尹錫悦前大統領は、その夫人の収賄疑惑が国民からの強い批判を浴び、支持率が急落の一途を辿りました。事態は昨年12月の非常戒厳宣布という異例の措置を経て、さらに深刻化。今年1月には内乱罪で起訴されるに至りました。そして、4月4日には国会で弾劾訴追案が可決され、即日で大統領の職を罷免されるという、韓国政治史上でも稀に見る事態となりました。この混乱を受け、急遽実施された大統領選挙で、国民の審判を仰ぎ、新たなリーダーとして選出されたのが、当時野党であった「共に民主党」の李在明氏です。彼の当選は、韓国社会が求める変化の表れと見る向きもありますが、その政治姿勢や過去の発言には注目が集まっています。

「ウリ北朝鮮」発言が示唆する李在明氏の思想的背景

李在明氏のこれまでの言動の中で、特に注目されるのが2014年、共に民主党の代表時代に発した「ウリ北朝鮮」という言葉です。作家シンシアリー氏は、この発言が文章の流れや読み方によっては、「ウリ金日成(キム・イルソン)」とも解釈されかねない内容であったと指摘しています。左派思想家としての具体的な思想流派を特定することは容易ではありませんが、この発言からは、彼が北朝鮮に対して特別な感情や思想的繋がりを持っている可能性が示唆されます。シンシアリー氏自身、20年近く韓国関連の執筆活動を続ける中で、このような発言の背景にある思想に深く関心を抱いていると述べており、その分析は李大統領の人物像を理解する上で不可欠です。

韓国語「ウリ」の持つ特別な意味とその文脈

皆さんも韓国語の「ウリ」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。これは日本語の「私たち」に相当しますが、韓国語における「ウリ」は単なる複数形に留まらない、より深い意味合いを持ちます。例えば、韓国では、たとえ一人っ子であっても自分の父親を他人に紹介する際に「私のお父さん」とは言わず、「ウリお父さん(私たちのお父さん)」と表現することが一般的です。この「私たち」という言葉は、韓国人にとって集団意識や連帯感を強く象徴する特別な意味合いを持ち、国歌にも「ウリナラマンセー(私たちの国 万歳)」という歌詞が登場することからもその重要性が伺えます。李在明氏が「ウリ北朝鮮」と表現した際に、この「ウリ」が持つ多義的なニュアンスが、彼の発言の真意を読み解く鍵となります。

まとめ:李在明大統領の登場と日韓関係の未来

韓国の新大統領となった李在明氏は、波乱に満ちた政治経歴と、過去の「日本は敵性国家」といった過激な発言、そして「ウリ北朝鮮」のような特定の思想的背景を示唆する言葉で、内外から注目を集めています。彼の多面的な人物像と、これらの過去の言動が、今後の日韓関係にどのような影響を及ぼすかは、国際社会、特に日本にとって大きな関心事です。シンシアリー氏の新著に示された分析は、李大統領の政治思想と韓国社会の動きを理解するための貴重な洞察を提供しており、私たちはその動向を注意深く見守る必要があります。

参考文献