パレスチナ自治区ガザへの人道支援物資の搬入拠点となっているイスラエル南部のケレム・シャローム検問所近くから4日、イスラエル軍に同行し、ガザ最南部ラファの物資集積地に入った。軍の担当者は物資を順調に搬入していると強調したが、ガザの住民はいまだに食料不足に苦しんでいる。(ラファ 福島利之、写真も)
日本メディアがイスラエル軍に同行してガザに入るのは、本紙などが2023年12月にガザ北部に入って以来。国連などの機関が8月下旬、ガザ市での飢饉(ききん)の発生を宣言して国際的な非難が高まる中、イスラエルは物資の搬入を進めていると示す狙いがある。
イスラエルがガザを取り囲むように新たに設置した「緩衝地帯」を過ぎると、小麦粉や米、ジャガイモ、トマト、豆の缶詰などの物資がずらりと積み上げられた集積地に到着した。作業員はこの場から物資をトラックに次々と積み込み、ガザの奥へと運んでいった。物資の搬入を管轄する軍民政調整局の担当者は「我々は搬入の制限を設けずに速やかに検査し、ガザに物資を入れている」と説明した。
イスラエルは3月、戦闘の再開とともに物資の搬入を停止し、ガザで飢餓が広がった。5月末に搬入を本格化させたが、戦闘が続く中で国連は十分に物資を配布できず、住民が物資を受け取るのは容易でない。食料はガザの住民に行き渡っていない。